【ご報告】第32回日本医療薬学会年会 Young Investigator’s Award(YIA) を当センター薬剤師 並木 孝哉が受賞しました

昨今、耐性菌の増加が問題になり耐性菌による死亡者数は何も対策を行わない場合、がんの患者の死亡者数を上回るといわれています。一方、新規の抗菌薬の開発は滞っているため、抗菌薬を耐性菌の種類に応じて上手に使用する適正使用が必要です。

当センターは、医療チームで感染症に罹患した患者さんに使用されている抗菌薬の適正使用を促しています。
この中で、並木孝哉は感染制御認定薬剤師として重要な役割を担っています。

抗菌薬の適正使用を行うためには、様々な論文や情報を収集し、患者さんごとに適切な投与設計が必要です。
しかし、現在公開されている論文や情報だけでは限界があります。そのため、より質の高い医療をおこなうには、臨床現場での疑問は自ら明らかにしなければなりません。これを臨床研究と呼びます。

この臨床研究は独自のスキルが必要であり、病院薬剤師業務の延長で実施することは容易ではありません。そのため、並木薬剤師は慶應義塾大学の社会人博士課程に入学し、臨床研究をおこなっています。

並木薬剤師は臨床研究により、耐性菌による感染症患者さんの腎機能と体型ごとに、どのような投与量・投与間隔で抗菌薬を使用することが望ましいかの投与方法の一覧を構築しました。その結果を第32回日本医療薬学会で発表をおこないました。

医療薬学会は全国から約9400名の参加者が集い、演題数は約1700題という薬剤師の参加する学会では最大級の学会です。その中で40歳以下の若手研究者が発表を行う、Young Investigator’s Award(YIA)というセッションで、並木薬剤師の研究は約70応募演題の中からYoung Investigator’s Awardを受賞しました。

このように患者さんの最適な治療のため重要な研究であることを評価されたと考えられます。

写真左から薬剤室責任者 枦秀樹、薬剤師 並木孝哉、感染症内科部長 織田錬太郎医師

今後も当センター薬剤室から様々な研究発表を行い、臨床現場における疑問を解決できるような取り組みを継続していきたいと思います。

薬剤室責任者  枦 秀樹

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