MICS CABG(低侵襲冠動脈バイパス術:Minimally invasive coronary artery bypass grafting)とは
現在、多くの病院で行われている冠動脈バイパス術(CABG)は、胸の真ん中にある胸骨という骨を縦に切開して(胸骨正中切開)手術を行っています。この胸骨正中切開によるアプローチではすべての手技が可能であり標準的に行われているとても優れたアプローチです。
しかしながらいくつかの欠点もあります。特に術後感染症である胸骨骨髄炎(いわゆる縦隔洞炎)の発生です。冠動脈バイパス術を必要とする患者さんの多くは糖尿病を患っています。糖尿病は手術後の傷の治りを妨げ、更には感染症を惹起します。特に胸骨に感染がおこるとこの胸骨骨髄炎(縦隔洞炎)を発症し長期入院が必要となります。また胸骨正中切開を行うことにより退院後しばらくの間は車の運転が制約されたり、社会生活や職場への復帰に日数を要します。
それらの欠点を解決するものが、患者さんの体に優しい冠動脈バイパス手術(低侵襲冠動脈バイパス術:MICS CABG)なのです。