安心して頼れるアフェレーシス療法〜臨床工学技士が、長い闘病を二人三脚で支えます〜

臨床工学技士の高畠です。
今回は臨床工学技士(以下ME)が日頃携わっている血液浄化業務の中で、アフェレーシスと呼ばれる治療についてお話ししたいと思います。

まずは私たちがメインで行っている透析治療についてお話します。透析とは、簡単にいうと腎臓の働きを代わりに行う治療です。腎臓は体内の老廃物や余分な水分を排出する機能を持ちますが、糖尿病や高血圧、腎炎等、様々な疾患により機能が低下して腎不全という状態をきたすことがあります。

透析は血液を取り出して老廃物の除去、水分の排出などを行い、その血液を体内に返すことで腎臓の代わりをします。そのため別名「腎代替療法」とも言われています。基本的に透析治療は週に4時間を3回(月水金、火木土のクール)と多く行われるため、血液浄化部門MEのメイン業務となっています。

そういった治療を行っている中で、アフェレーシス療法という特殊血液浄化療法も行われています。アフェレーシス療法とは自己免疫疾患や肝炎、近年では安倍元首相が辞任するきっかけとなってしまった潰瘍性大腸炎等の腸疾患といった、血液中に原因である物質が存在している疾患に対して行う治療です。

当院で行われているアフェレーシス療法は単純血漿交換療法、二重膜濾過血漿交換療法、血漿吸着療法、血液吸着療法等、様々な治療法が行われています。

  1. 単純血漿交換療法
    患者さんの血液を特殊な膜を介して血漿を分離させ、新しい血漿を患者さんへ輸血するという手法です。
  2. 二重膜濾過血漿交換療法
    先ほどの単純血漿交換療法のように血漿成分を分離した後、さらにもう一つの特殊な膜を介して、より選択的に原因物質を除去する手法です。
  3. 血漿吸着療法、血液吸着療法
    特殊な膜を通過させることで血漿、あるいは血液中の対象物質を除去する治療となります。

これらの治療は、治療法によっては複雑な回路を組む必要がありますが、機械の自己診断やスタッフの多くの目によって安全な治療が行われています。アフェレーシス療法は重篤な患者さんに対しては集中治療医と腎臓内科、MEが連携することで透析室ではなく集中治療室にて治療を行っています。

最近では手足の末梢循環が悪くなってしまう、閉塞性動脈硬化症による潰瘍に対してレオカーナというアフェレーシス治療が行われるようになりました。レオカーナは血液吸着療法の1つで、EVT(末梢血管形成術)によるカテーテル治療や外科的な血管バイパス術等でも治療困難な症状のあるものに対して行う治療の1つです。

取り出した血液を膜に通すことで原因物質を除去、血液を患者さんへ返すという非常にシンプルなものです。1回約2時間程度の治療で、週2回のペースで、最大24回まで、潰瘍の状態をみながら施行していきます。

レオカーナ実施の際にはSPP(皮膚灌流圧測定)という末梢循環の測定も行い、治療前後の評価も行いながら進めていきます。当院ではEVT治療を勢力的に行っているため、閉塞性動脈硬化症に対して循環器内科と透析室が連携をとりながら包括的な治療が行われています。

このような新たな療法を取り入れ、患者さんへ最善の治療を提供できるよう他部署と連携を取りつつ、我々MEはアフェレーシス療法に取り組んでいます。アフェレーシス療法が行われる病気の多くは完治ではなく寛解、再燃を繰り返すことのある難病であり、患者さんも根気のいる治療となります。

長い闘病を、患者さんと共に乗り越えていくため 私たちも全力でサポートしていきます。高い専門知識と技術、そしてチームワークが私たちの大きな武器です。どうぞ安心して、東京ベイMEチームを頼りにしてください。

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