こんにちは。
臨床検査室です。
当センターの臨床検査室は検体検査室、生理検査室、病理検査室、細菌検査室の4部門から構成されます。各部門では医師など他職種と連携を取りながら検査を行いますが、それぞれに違った特色がみられます。
今回は病理検査室でおこなっている細胞診検査の特色について紹介します。
病理診断科の病理専門医師1名と臨床検査技師3名(うち細胞検査士2名)で細胞診業務を担当しています。
~細胞診とは~
主にがん細胞の有無などを調べる検査です。喀痰や尿、子宮頸がん検診の擦過細胞や、腹水などの検体を適切に処理して、細胞をガラスに塗ります。これを染色した後、顕微鏡で細胞の観察を行います。
~病理医のサポート役として~
病理組織診断に携わるのは病理専門医のみですが、細胞診においては、細胞検査士も重要な役割を果たします。
細胞診断では、最初に細胞検査士が標本中にがん細胞などの異常細胞がないか顕微鏡で観察します。異常細胞があった場合、細胞に印をつけます(スクリーニングといいます)。その後、同じ標本を病理専門医が再度観察して細胞診報告書として提出します。
病理医との連携が欠かせない検査であり、日頃から標本作製や細胞の見方などについてのご指導を頂いています。
~細胞検査士がスクリーニングで心がけていること~
スクリ-ニングでは、悪性細胞を見落とさないで拾うことが一番肝心です。
また、細胞診に携わる人と細胞の話をする時には、細胞を人の顔に例えて、悪性細胞を「顔つきが悪い」などと表現したりするのですが、一目で悪性細胞と分かるケースから、見た目は「悪そうな顔つき」でも良性細胞であったり、その逆で見た目「良さそうな顔つき」な悪性細胞もあります。
人は見た目だけでは分からないこともあるように、細胞も良悪の区別が難しいケースが多々あります。これらを見分けることも重要になります。
がんをいち早く見つけ出し、治療に役立てられるよう日々、技術の向上に努めています。
~細胞の見え方~
人体の細胞は、平均約20マイクロメ-トル(0.02ミリメートル)と非常に小さいですが、多くの種類があり、それぞれ形に違いがあります。正常の細胞は端正で整った形をしていますが、がん等でみられる細胞では不正形で「悪そうな顔つき」をしています。

正常細胞(左) がん細胞(右)
このように病理検査室では「細胞の顔つき」の良し悪しをチェックしています。
私たちが見ている数々の細胞はそれぞれ形状や元となる細胞が異なるため、見るべきポイントが変わります。そのため、病理医と情報の共有、疑問点の解決を欠かさずおこなうことにより、それらを正確に見分けられるよう日々努めています。
主にがん細胞の有無を調べている細胞診検査ですが、婦人科領域の検体では、癌の早期発見のみでなく、前癌病変の原因となるHPV感染細胞を見つけることで、病変が進行しているのかなどの病態把握にも役立ちます。ぜひ検診を受けていただくことをおすすめ致します。
私たち病理の検査技師は患者さんと直接お会いする機会は少ないですが、細胞の番人として皆さんの体の中に「悪い顔つきの細胞(がんなどの異常細胞)」がいないか今日もミクロの世界を見張っています。