2月21日から23日にかけて幕張メッセで第45回日本集中治療医学会学術集会(JSICM)が、2月25日から28日にかけてテキサス州サンアントニオで47回SCCM(米国集中治療医学会)のAnnual congressが開かれ、どちらにも当科から複数の発表などを行いました。

日本集中治療医学会では以下のハンズオンセミナーや発表を行いました。

ハンズオンセミナー

非同調グラフィック&経肺圧モニター (則末部長、片岡医師)
神経集中治療ハンズオンv2 (藤本医師)

発表
則末部長
委員会企画 2方針決定が困難な症例にどの様に対応していくか? (倫理委員会)
心肺停止時以外の方針決定

片岡医師
優秀演題: 少量フロセミド投与後の反応尿量は、ネガティブバランスに対する臓器認容性を予測しうるか

藤本医師
パネルディスカッション: 低い左室一回心拍出量に対して不釣り合いに過収縮している右室の所見は輸液反応性を予想するか?
口演: 院内心停止症例の休日や夜間における発症数と予後とその原因への対策

三反田医師
口演:自発呼吸試験を合格した人工呼吸患者における誘発咳嗽時の横隔膜移動距離と速度は再挿管を予想するか?
口演:咳嗽時のピークフロー値は横隔膜超音波で推定可能か?

鍋島医師
口演:壊血病に伴う歯肉出血で出血性ショックとなった1例

またICUで研修中の先生やICU看護師や臨床工学技士も発表を行っています。
石塚医師
口演:眠りスキャンを用いた集中治療室におけるせん妄の予測について

新山医師
ポスター:血液を遠心分離し得られるbuffy coatをグラム染色することで早期診断が出来た侵襲性肺炎球菌感染症の二例

工藤看護師
口演:当センターの予定外ICU入室患者におけるRRS介入の現状
口演:当センターにおける呼吸数測定の遵守率によるRRS起動数の変移

宇佐見臨床工学技士
口演:急性期患者における「眠りSCAN」による呼吸数測定の妥当性について

SCCMでも発表を行っております。
三反田医師
Cough Peak Flow Can Be Predicted by Diaphragm Ultrasound

富田医師
Neurologic Outcomes of Elderly Patients After ECPR in Refractory Cardiac Arrest

SCCMのレポート

2018年2月25日〜28日に行われた米国集中治療学会に参加しました。学会では最新の知見や研究についての発表が行われており、勉強になることばかりでした。しかしながら、印象的だったのはそういった新しいものではなく、これまでを見直すべきという会長口演でした。会長口演では全てのICUのドアに”Less is more”と貼るべきだ、Less is moreのために5つのDon’tとして以下がある、とおっしゃっていました。それが以下の通りです。

1.ルーチンで(採血やレントゲンなどの)検査を行わない
2.出血もせず状態の落ち着いている患者に検査結果(ヘモグロビン値)のみで輸血を行わない
3.栄養不良のない患者に対してICU入室1週間以内に、点滴による栄養を行わない
4.特別な理由なく人工呼吸器患者に深い鎮静を行わない
5.死亡リスクが高く、機能回復が望めない患者に対して緩和ケアをすすめることなしに命を永らえることをしない

医療者は医療倫理の三原則に基いて“善い行いをしよう“としがちですが、それが患者さんの利益になるとはかぎらないということを自覚すべきであるというのです。今一度、普段の医療行為の1つ1つが本当に必要かどうか改めて考えるきっかけになりました。

フェロー 三反田拓志

◆ 東京ベイ・浦安市川医療センター 救急集中治療科(集中治療部門)

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