ICUには、心臓や脳などの大きな手術が必要で術後管理のために入室する患者さんもいますが、内科系の病気が重症化したために入室する方もいます。
また、高齢化社会の中で、術後の管理に加え元々の内科疾患も同時に治療を行うべき患者さんが増えてきています。
我々、集中治療を専門に行う医師にも、幅広い総合的な内科の知識を身につけることが求められます。
現在、当センターのICUには内科医以外の複数の医師が外部から研修に来ていますが、そのうちの2人(1人は麻酔科医、もう1人は救急医)が中心となり幅広い内科の知識を養うため、Journal clubや各種勉強会とは別に週1回の”内科レクチャー”と題した勉強会を行っています。
今回の集中治療室(ICU)からのweb通信ではその勉強会の内容についてご紹介します。
集中治療分野と総合内科分野の2つの医学雑誌『INTENSIVIST』、『HOSPITALIST』から、毎週1つずつ項目をピックアップして、約1時間程度のレクチャーを当科の全員を対象に行っております。
特に「治療や診断を具体的にどうするか?」の部分を重点的にまとめ、さらに不足していると感じた部分はUpToDate® (世界中の著名な臨床医の治療法が最新エビデンスと共に収録されているインターネットが媒体の臨床支援ツール)や各ガイドラインなどから引用しています。
当センターのICUでは、インテンシヴィスト(集中治療医)だけでなくジェネラリスト(総合診療医)としてのスキルの両立を目指し、当科医師全員が集中治療に加えて総合内科的知識のアップデートに取り組んでいます。
文責 齋藤慎二郎
今年度実施した『INTENSIVIST』、『HOSPITALIST』レクチャーのテーマ
● 化学療法に起因するICU管理を要する重篤な有害事象(INTENSIVIST血液疾患)
● 特発性好酸球増加症候群(INTENSIVIST血液疾患)
● 血球貪食性リンパ組織球症・血球貪食症候群(INTENSIVIST血液疾患)
● 血栓性血小板減少性紫斑病・溶血性尿毒症症候群(INTENSIVIST血液疾患)
● 感染症に伴う皮膚疾患(HOSPITALIST他科の知識。皮膚科・泌尿器科)
● 膠原病、自己免疫疾患に伴う皮疹(HOSPITALIST他科の知識。皮膚科・泌尿器科)
● 急速糸球体腎炎(HOSPITALIST腎臓内科)
● ネフローゼ症候群(HOSPITALIST腎臓内科)
● ネフローゼ症候群を来す主要な糸球体腎炎(HOSPITALIST腎臓内科)
● 骨髄生検はいつ行うか(HOSPITALIST腫瘍)
● 高カルシウム血症(HOSPITALIST腫瘍)
● 脊髄圧迫(HOSPITALIST腫瘍)
● 腫瘍崩壊症候群(HOSPITALIST腫瘍)
● 腫瘍随伴症候群(HOSPITALIST腫瘍)
● 上大静脈症候群(HOSPITALIST腫瘍)
● 低ナトリウム血症(INTENSIVIST内分泌・代謝)
● 糖尿病性ケトアシドーシス,高浸透圧性高血糖症候群(INTENSIVIST内分泌・代謝)
● アルコール性ケトアシドーシス(INTENSIVIST内分泌・代謝)
● 甲状腺クリーゼ(INTENSIVIST内分泌・代謝)
● 粘液水腫性クリーゼ(INTENSIVIST内分泌・代謝)
● 副腎不全(INTENSIVIST内分泌・代謝)
● ステロイドカバー(INTENSIVIST内分泌・代謝)
● 褐色細胞腫(INTENSIVIST内分泌・代謝)
● 免疫不全者の下痢(HOSPITALIST 消化管疾患)
● 炎症性腸症候群(HOSPITALIST 消化管疾患)
● 白血球数の異常、分画異常へのアプローチ(HOSPITALIST血液内科)
● 好酸球増多症(HOSPITALIST血液内科)
● リンパ節腫脹へのアプローチ(HOSPITALIST血液内科)
● 悪性リンパ腫(HOSPITALIST血液内科)
● 多発性骨髄腫(HOSPITALIST血液内科)