集中治療室(ICU)からの第3回web通信は、急変を未然に防ぐための”ラピッドレスポンスシステム(RRS)”についての紹介です。
皆様は、身近で人が具合が悪そうであったり場合によっては倒れていたり、電車や飛行機などに乗っている際に「お客様の中にお医者様はいらっしゃいますか?」といった場面に出くわしたり、不幸にも心臓マッサージをされている場面をみたことはあるでしょうか。
このように体の調子が急に崩れてしまうことは、健康な方、何らかの持病をお持ちの方、若い方や高齢の方、にも等しく起こりえることです。
不幸にも心肺停止状態となり心臓マッサージなどの緊急処置が必要になる場合もあります。
病院はもともと病気を治療する場ですからこういったことが起こる確率は高くなっており、それは外来でも入院した病棟でも、同様に起こってしまうことがあります。
東京ベイ・浦安市川医療センターでは、こうした”急変”と言われる急激な容態の悪化を未然に防ぐために、”ラピッドレスポンスシステム Rapid Response System(RRS)”というものを行っています。
(以下で述べる活動がその概要になります)
「急変は、実は急変ではない!?」
これは本活動のキーワードとなる文句ですが、急激な容体の悪化は突然起こるものばかりではなく、その数時間前から何らかのサイン(例えば呼吸が早くなる、心拍数が上昇するなど)を示している場合がほとんどであることがわかっており、急変の半数近くは防ぎえるのではないかと言われています。
そこで我々はそういったサインを逃さず察知し、早期に治療介入できるよう、病院全体で活動をしています。
患者さんの状態悪化を察知
プロの医療スタッフは「患者さんの容体が何かおかしい」といった鋭い”勘”を持っており、いち早く患者さんの状態を察知し対応することができます。
この”勘”を育てるため、院内研修とシミュレーションを定期的に行っており、サインを見逃さないようにトレーニングしています。
“ラピッドレスポンスチーム”
患者さんが危険なサインを示していた場合には、当センタースタッフよりラピッドレスポンスチームに連絡され、診察を行います(外来スペースは救急科、小児科病棟は小児科、それ以外は集中治療部門の医師が担当しています)。
必要な処置を行い、集中的に治療介入が必要と判断されれば、集中治療室(ICU)に搬送となることもあります。
いずれにしても心停止などの”急変”が生じないように早期に介入するのが目的です。
起動症例から対策の検討
RRSが起動された症例をひとつひとつ検討し、早期に発見できていたか、適切な対応ができていたか、などを評価してシステムをよりよいものにすることを心掛けています。
また日本ではこのシステムが導入されていない病院がまだまだ多いため、学会発表やセミナーを積極的に行って院内だけでなく院外にも広げ、啓蒙していくことを心掛けています。
RRSを導入することで、心肺停止や死亡が起こるのを防ぐことができるという報告もされています。
これからも当センターで患者さんに安心して治療に専念していただけるよう活動を続けていきます。
患者さんご自身やご家族も、外来に来たとき、入院時に、何かご不安があればご遠慮なくスタッフにお知らせください。