初期研修医から見た東京ベイICU ~手技を完遂する力を学べたICUローテ~

全国8000人の医学部6年生の皆さん、こんにちは。
今月も東京ベイweb通信ICU記事をフェローの鍋島がお届けします。
今回の記事は、“初期研修医から見た東京ベイICU”と題しまして、
血液内科志望の初期研修2年目の先生が2ヶ月間ICUをローテートした感想をお伝えしたいと思います。
当センターでの初期研修を希望されている医学生の方、マッチング真っ只中の6年生はもちろん、4,5年生の方もぜひご参考になさってください。
気になることがあれば当センターICUスタッフに遠慮なくご連絡ください。

手技を完遂する力を学べたICUローテ

東京ベイの初期研修プログラムは、内科・外科・救急・小児科など様々な疾患をジェネラルに診ることができる診療科を2ヶ月ずつローテートします。ICUも例外ではなく、内科系の重症患者から心臓血管外科の術後患者まで集中治療が必要となるすべての患者さんがICUに入室し、上級医の万全の指導のもと我々レジデントが実際に患者さんを担当します。ICUに入室する患者さんは急性期で状態が不安定な方が多く、常に迅速かつ的確なマネジメントが求められるため、期待もさることながら多くの不安を抱いた状態でのローテート開始となりました。

ところが、実際にICUローテートが始まると、その確立した教育システムに守られ、私の不安は完全な杞憂に終わりました。まず、日々のラウンドでは、臓器別にプロブレムを挙げ、それぞれに対しアセスメントとプランを考えた上でプレゼンテーションをすることが求められます。ときには上級医から厳しい指摘を受けることもあり、プレゼンテーションのときは常に緊張の連続でしたが、上級医の非常に教育的なフィードバックを毎回必ず受けることができ、日々成長を実感することができました。私は血液内科に進むため内科系の患者さんを担当することが多かったのですが、重症敗血症や糖尿病性ケトアシドーシスなど的確な全身管理が求められる患者さんに対し、プロブレムをひとつずつ丁寧に列挙して病態を考えていくというトレーニングは貴重な経験となりました。

次に、ICUにおいては血管内デバイスを入れる機会が多く、必然的に多くの手技を経験できます。私は中心静脈カテーテルや動脈ラインなどの手技が苦手であり、ローテート前は到底自信を持って手技を完遂させることはできませんでした。ところが、ICUの先生方は非常に教え方が上手であり、2ヶ月間のローテート終了時にはある程度自信を持って手技を成功させることができるようになりました。

最後に、東京ベイICUではアカデミックな教育環境が整っており、Journal clubやレクチャーが毎週行われています。私も僭越ながら脳梗塞の血管内治療に関するJournal clubを担当させていただきましたが、ひとつの分野の論文を丁寧に読みスライドにまとめることで、ダイナミックに進歩を遂げる医学の世界を実感することができ、今後医師として一生必要である「知識のアップデート」という大切な能力を磨くことができました。

今後は血液内科に進みさらなるトレーニングを積んでいきたいと考えておりますが、東京ベイICUで学んだ「アセスメントをする力」「手技を完遂する力」「アカデミックに知識をアップデートする力」は今後の医師人生における基盤になると確信しております。ICUの先生方、2ヶ月間ありがとうございました。

宮下明大(2016,2017年度 東京ベイ初期研修医)

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