2017年度もICUでは院内外より院内外合計46人、133か月と多数の医師にお越し頂き研修を行わせて頂きました。
内訳は院内から35人(内科15人、救急部門 9人、外科3人、研修医6人、診療看護師 2人)と院外から11人(東京慈恵会医科大学附属病院、獨協医科大学病院、麻生飯塚病院、諏訪中央病院、市川市リハビリテーション病院、大曲厚生医療センター、川崎市立多摩病院、湘南鎌倉総合病院、東京北医療センター、東京都立多摩総合医療センター、伊東市民病院)でした。特に院外から研修にお越し頂いた医師方は不慣れな環境の中でも、これまでの経験で得られていた得意分野を生かし活動して頂き、我々のICUにそれぞれのエッセンスを加えて頂きました。2017年度は1,000人近くのICU患者さんを診療しましたが、研修に来られた医師が、全ての患者の主担当医として診療に携わって頂きました。また、何人かの医師は、多施設で行ったJournal Clubで発表を行って頂きました。Journal Club以外にも、日常診療で生じた疑問などに対したくさんの勉強会という形で解決を図ってくださり、我々の知識のUpdateをして頂きました。ありがとうございました。研修を終えられた医師方は、当院での研修中に学んだものを、現在の施設でも生かして頂いているようです。

さらに、京都大学(6年生)、福岡大学(6年生)、昭和大学(5年生)、東京慈恵会医科大学(5年生)、University of Vermont(4年生)から学生実習を受け入れ、実際に医師のスーパーバイズの元に患者さんを受け持つことまでして頂きました。初めて診るICUで当初は戸惑いもありそうでしたが、しばらく経つと診療スタイルに慣れ、しっかりとアセスメントを行い、実習の終盤になると堂々とプレゼンテーションができるようになるまで成長をしていました。

多施設で行ったJournal Clubは以下の通りです。発表に使用したスライドは聖マリアンナ医科大学救急医学のHP (http://www.marianna-u.ac.jp/eccm/office/15218/15229/index.html) で公開されています。

2017年4月11日 鍋島医師
心臓外科術後の血管拡張性ショックに対するバソプレシンはノルアドレナリンより有効か?(VANCS trial)
Vasopressin versus Norepinephrine in Patients with Vasoplegic Shock after Cardiac Surgery The VANCS Randomized Controlled Trial.
Anesthesiology. 2017;126:85-93. PMID: 27841822

2017年4月25日 飯尾医師(救急集中治療科 救急外来部門)
リクルートメントマニューバーは術後肺合併症を予防するか
Effect of Intensive vs Moderate Alveolar Recruitment Strategies Added to Lung-Protective Ventilation on Postoperative Pulmonary Complications: A Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2017;317:1422-1432. PMID: 28322416

2017月5月9日 石塚医師(内科)
敗血症に対するデクスメデトミジンは生命予後を改善するか(DESIRE trial)。
Effect of Dexmedetomidine on Mortality and Ventilator-Free Days in Patients Requiring Mechanical Ventilation With Sepsis: A Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2017; 317:1321-1328. PMID: 28322414

2017年5月23日 竹内医師(内科)
輸液反応性の指標としてエコーは有用か?
Ultrasound assessment of volume responsiveness in critically ill surgical patients: Two measurements are better than one.
J Trauma Acute Care Surg. 2017;82:505–511. PMID: 28030505

2017年6月13日 鵜木医師(麻生飯塚病院)
ATS/ESICM/SCCM:ARDSガイドライン
An Official American Thoracic Society/European Society of Intensive Care Medicine/Society of Critical Care Medicine Clinical Practice Guideline: Mechanical Ventilation in Adult Patients with Acute Respiratory Distress Syndrome.
Am J Respir Crit Care Med. 2017;195:1253-1263. PMID: 28459336

2017年7月11日 津島医師(初期研修医)
敗血症性ショックにおける治療開始までの時間と死亡率の関係
Time to Treatment and Mortality during Mandated Emergency Care for Sepsis.
N Engl J Med. 2017;376:2235-2244. PMID: 28528569

2017年7月25日 藤本医師
原因不明のてんかん症例における自己抗体の陽性頻度
Neurological Autoantibody Prevalence in Epilepsy of Unknown Etiology.
JAMA Neurol. 2017;74:397-402. PMID: 28166327

2017年8月8日 木村医師(救急集中治療科 救急外来部門)
敗血症性ショックに対するビタミンC
Hydrocortisone, Vitamin C, and Thiamine for the Treatment of Severe Sepsis and Septic Shock A Retrospective Before-After Study
Chest. 2017;151:1229-1238. PMID: 27940189

2017年8月22日 藤岡医師(内科)
重症COPDに対する在宅NIV
Effect of Home Noninvasive Ventilation With Oxygen Therapy vs Oxygen Therapy Alone on Hospital Readmission or Death After an Acute COPD Exacerbation A Randomized Clinical Trial
JAMA. 2017;317:2177-2186. PMID: 28528348

2017年9月26日 新山医師(内科)
人工呼吸器管理中の誤嚥性肺炎に対する抗菌薬投与
Antibiotic Therapy in Comatose Mechanically Ventilated Patients Following Aspiration: Differentiating Pneumonia From Pneumonitis
Crit Care Med. 2017; 45:1268–1275. PMID: 28594680

2017年10月24日 片岡医師
ARDSに対する肺リクルートメント
Effect of Lung Recruitment and Titrated Positive End-Expiratory Pressure (PEEP) vs Low PEEP on Mortality in Patients With Acute Respiratory Distress Syndrome: A Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2017;318:1335-1345. PMID: 28973363

2017年11月24日 小幡医師(川崎市立多摩病院)
術前血圧を参考にした周術期血圧管理は臓器障害を減少させるか? (INPRESS study)
Effect of Individualized vs Standard Blood Pressure Management Strategies on Postoperative Organ Dysfunction Among High-Risk Patients Undergoing Major Surgery: A Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2017;318:1346-1357. PMID: 28973220

2017年11月28日 川端医師(初期研修医)
発展途上国においてSepsisプロトコールは有効か?
Effect of an Early Resuscitation Protocol on In-hospital Mortality Among Adults With Sepsis and Hypotension: A Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2017;318:1233-1240. PMID: 28973227

2017年12月26日 藤本医師
PbtO2+ICPによる重症頭部外傷マネジメントは脳組織低酸素を減少させるか?
Brain Oxygen Optimization in Severe Traumatic Brain Injury Phase-II: A Phase II Randomized Trial.
Crit Care Med. 2017:1907-1914. PMID: 29028696

2018年1月30日 宮下医師(初期研修医)
脳梗塞発症後6-24時間における血栓除去術 (DAWN trial)
Thrombectomy 6 to 24 Hours after Stroke with a Mismatch between Deficit and Infarct.
N Engl J Med. 2018;378:11-21. PMID: 29129157

2018年2月27日 鱶口医師(湘南鎌倉総合病院)
敗血症性ショックに対するステロイドは死亡率を改善するか(ADRENAL trial)
Adjunctive Glucocorticoid Therapy in Patients with Septic Shock.
N Engl J Med. 2017;377:2133-2144. PMID: 29347874

2018年3月27日 岩田医師(初期研修医)
生食はbalanced crystalloidに比べ死亡を含めた腎臓に関するアウトカムを悪化させる(SMART)
Balanced Crystalloids versus Saline in Critically Ill Adults.
N Engl J Med. 2018;378:829-839. PMID: 29485925

また当院からは、藤本医師がハワイのQueen’s Medical Center、片岡医師がギリシャのクレタ大学で1か月ずつ院外を行い、それぞれ神経集中治療、人工呼吸管理の非同調やPAVについて学んできて、その後当院ICUでの臨床に生かされています。

<ハワイ大学>
東京ベイ集中治療科フェローの藤本医師が2週間見学に行かせていただきました。当院での神経集中治療practiceも、経験則でなくEBMを重視する海外のものと比較して劣っていないことを確認できた一方で、UpDateできたことも多く、当院での神経集中治療の質を高めることができそうです。
システムについてはNs(看護師),NP(診療看護師)の役割が大きく、夜間当直やby systemでの症例プレゼンを行ったり、院内の脳卒中で起動されるstrokeコードでは神経集中治療医と連絡をとりながら他科の医師よりも発言力を持って診療に当たります。脳神経のマルチモニタリング(PbtO2/ICP/TCD/cEEG/NPi/EVDなど)も当然のように行われておりました。TCDやcEEGは測定し評価する専門職がおり24時間体制でビデオ付き脳波を用いて観察を行います。NPiはBISと同様にアルゴリズムの詳細は不明瞭であるものの、有用性を報告する文献の存在、実臨床で感じる有用性から指標のひとつとされていました。本邦では認可されていないPbtO2を含めた脳神経評価も経験できました。intensivistは常に酸素供給を意識し、DO2=CO*(Hb*1.36*SaO2+0.003*PaO2)で得られますが、通常は重要視されない0.003*PaO2の方に着目したデバイスです。病態変化への追従性がよいと評価されておりました。この経験を糧に当院でも神経集中治療をさらに発展させていきたいと思います。

<クレタ大学研修>
初めての海外留学でしたが、スタッフの皆さんに優しくしていただき充実した日々を過ごすことができました。人工呼吸管理の臨床と研究手法を中心に学びましたが、ギリシャの文化、歴史を含め、多くのことを学ぶことができました。今後の臨床、研究にいかしていきたいと思います。

2018年度も院内・外から多く医師が研修に来ていただく予定となっております。また新たに6人がフェローとして仲間に加わる予定です。人数が増えることで、より楽しく、さらに進化したICUになりそうです。

◆ 東京ベイ・浦安市川医療センター 救急集中治療科(集中治療部門)

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