当センターでは医療の質の向上を図る目的で、病院のデータから臨床指標を検討・策定し、分析を行っております。
当センターの臨床指標について
1.外来実患者数
定義:
外来実患者数
当センターの外来患者数は、紹介患者数も含め年々増加傾向にありました。
2人主治医制(精密検査又は急病や病状悪化時及び入院治療は当センターで、診断がつき病状が安定した後は近隣のクリニックへ)
を積極的に導入後は一時患者数の抑制が出来ました。
2020年度の減少は、感染症の影響で一般外来に関しては完全予約制を導入及び診療を制限している期間もあった為です。
2.入院件数
定義:
入院件数
当センターは344の入院病床を有し、地域の中核病院として急性期・小児・周産期の患者さんや手術を目的とした患者さん及び
診療科に関係なく重症患者さんも積極的に受け入れ、ICU・HCU病棟を兼ね備えています。
入院患者数は年々増加傾向にありましたが、2019年度後期からは減少傾向です。これは、感染症の影響で病床を一部制限している為です。
3.予定入院数
定義:
予定入院の場合と予定された再入院でかつ化学療法を実施する場合の件数
当センターの全入院件数のうち予定入院された患者さんの件数です。
外来で精査し、治療の計画をたててから入院されます。
全体の4割くらいを占めています。
4.手術件数
定義:
手術室で実施した手術件数
当センターの手術室は6部屋あります。
その内1部屋を感染対策として、感染力の高い疾病患者さん(疑いも含む)でも手術が出来る様、陰圧室(室内の空気を外部に
流出しない用に気圧を低くしてある部屋)として運用しています。
手術室の稼働は年々増加傾向にありましたが、2019年度後期からは減少傾向です。これは、感染症の影響で予定手術を一時制限
する期間があった為です。現在は回復傾向にあります。
5.分娩件数
定義:
分娩件数
分娩件数は経腟分娩・帝王切開手術を合わせた件数です。
無痛分娩もこの件数に含まれています。
当センターでは、24時間365日「産婦人科」及び「小児科」の医師が勤務しており安全な分娩を心掛けております。
6.病床利用率
定義:
[分子](許可病床数〈344〉×日数)
[分母] 在院患者数(延日数)
病院全体の許可病床数(344床)のうち、どのくらい病床を利用(患者さんが入院されているか)されているかをみていく指標です。
2019年度後期からは減少傾向です。これは、感染症の影響で一部病床を制限している為です。
7.平均在院日数
定義:
[分子]月間延べ患者数の4月~3月の合計
[分母](4月~3月の新入院患者数+4月~3月の退院院患者数)÷2
一人の患者さんが、平均何日間入院しているかみていく指標です。
医療の効率化やクリニカルパス(入院される患者さんにあらかじめ治療計画をたてた疾患別スケジュール表)を使用し、
患者さんのADL(日常生活動作)低下や患者さんの医療費の削減の為に、入院期間の短縮に努めています。
8.紹介件数、紹介率・逆紹介率
定義:
紹介状を持参し来院した患者数
他の医療機関から紹介状を持参した件数です。
2020年度以降は減少傾向です。これは、感染症の影響で一般外来に関しては完全予約制及び診療を制限している時期もあった為です。
定義:
[分子]紹介患者数
[分母]初診患者数-(救急搬送初診患者数+休日・夜間受診初診患者数)
初診患者さんに対し、他の医療機関から紹介状を持参し、当センターを受診した割合となります。
地域の医療機関と連携している度合いをみていく一つの指標です。
定義:
[分子]逆紹介患者数
[分母]初診患者数-(救急搬送初診患者数+休日・夜間受診初診患者数)
初診患者さんに対して、他の医療機関へ紹介した割合です。
地域の医療機関と連携している度合いをみていく一つの指標です。
当センターは、2人主治医制(精密検査又は急病や病状悪化時及び入院治療は当センターで、診断がつき病状が安定した後は
近隣のクリニックへ)を導入しております。
診断がつき病状が安定した後は、積極的に近隣の病院・クリニックへ紹介しております。
9.退院後30日以内の予定外再入院率
定義:
[分子]再入院数
[分母]全症例数
前回入院時の治療が不十分であったかどうか、
回復が不完全な状態で早期退院を強いていないかどうかをみていく指標です。
10.クリニカルパス適用率
定義:
[分子]パス適用患者数
[分母]入院患者数
入院患者さんに対してクリニカルパスを使用した割合です。
クリニカルパスとは、入院される患者さんの疾患や処置毎に、治療や検査・処置及び実施する時刻等の計画をあらかじめスケジュール表にしたものです。
このスケジュール表は患者さんにシートとしてお渡ししています。
当センターでは、2023年3月現在183件のクリニカルパスが登録されています。
クリニカルパスを使用することにより、患者さんや家族の方が入院中の計画を把握することができます。
11.有休取得率
定義:
[分子]取得資格のある労働者の取得日数
[分母]付与日数(繰り越し日数は含まない)
有給休暇を取得しやすい職場環境作りを心掛けております。
12.職員の健診受診率・予防接種率
定義:
[分子]健康診断実施者
[分母]常時常用者(週20時間以上労働者 非常勤勤務者含む。非常勤医師、派遣委託業者は除く)
対象となる職員が、健康診断を受けた割合です。
健康診断は労働安全法で定められており、職員の安全と健康を確保するため実施が義務付けられております。
各職員の自己管理はもちろんのことですが、利用される患者さんへの安心にもつながります。
定義:
[分子]接種人数
[分母]職員数(各年度10月在籍数)
対象となる職員がインフルエンザの予防接種を受けた割合です。
接種することにより、職員自身が感染症から身を守ることにもつながり、また感染症による欠勤で医療体制機能の低下を防ぐ目的もあります。
2022年度は新型コロナワクチン接種を優先し、インフルエンザ予防接種を控える職員が多かった為接種率が減少傾向でした。
13.入院・外来患者満足度
定義:
[分子]「満足」または「やや満足」と回答した入院患者数
[分母]患者満足度調査に回答した入院患者数
定義:
[分子]「満足」または「やや満足」と回答した外来患者数
[分母]患者満足度調査に回答した外来患者数
外来・入院患者さんとお付き添いの方を対象に総合的に当院の満足度についてお聞きしました。
「満足、やや満足、どちらともいえない、やや不満、不満」の5段階評価とし、満足またはやや満足と回答された割合です。
患者さんのご意見やご要望に耳を傾けることによって、より質の高い医療を提供できるよう努力を続けております。
14.中心静脈カテーテル挿入患者血流感染率
定義:
中心静脈カテーテル関連血流感染(CLABSI)感染率
感染率(1000カテーテル使用日)<1000日間カテーテルを使用するとどの程度感が起こるか>
[分子]中心静脈カテーテル関連血流感染件数×1000
[分母]延べ中心静脈カテーテル使用患者数
前年度(2021年度)より血流感染の発生率が低下しています。これはICUにおける中心静脈カテーテルの感染防止技術や
管理が適切に行われていると評価できます。
新型コロナウイルス感染症の重症者を多く診療していた前年度(2021年度)より血流感染の発生率が低下してきました。
今後はコロナ以前の水準以下になるよう感染対策の充実を図ります。
15.RRS発動数
定義:
RRS(Rapid Response System)院内迅速対応システムの発動件数
RRS(Rapid Response System)とは「迅速に対応するシステム」のことで、当センターでは「急変させないシステム」として職員に周知させています。
患者さんの状態が通常と異なる場合に定められた基準に基づき、RRSチームに連絡し早期介入・治療を行うことで、ショックや心停止といった致死性の
高い急変に至ることを未然に防ぐシステムのことです。
16.医師のインシデント・アクシデント報告率
定義:
期間中の月別インシデント・アクシデント報告総件数に対する医師が提出したインシデント・アクシデント報告数の割合
病院全件のインシデント・アクシデント報告総件数に対する医師の報告した件数の割合です。
インシデントとはミスがあったが事故にならなかったこと、アクシデントとは事故のことです。
起きてしまった事故を速やかに報告することは再発を防ぐために重要なことです。
17.有害事象発生率(レベル3b以上)
定義:
入院患者延べ数に対する、インシデント影響度分類レベルが3b以上の件数の割合
インシデント・アクシデント報告件数は増加していますが、2020年度以降の有害事象発生率は減少しているため、
報告の徹底により軽微な影響にとどめることができています。
18.転倒・転落発生率(レベル2以上、レベル4以上)
定義:
入院患者延べ数に対する、インシデント・アクシデント報告が提出された入院中の転倒・転落件数のうち、インシデント影響度分類レベルが2以上の件数の割合
定義:
入院患者延べ数に対する、インシデント・アクシデント報告が提出された入院中の転倒・転落件数のうち、インシデント影響度分類レベルが4以上の件数の割合
入院中の患者さんが転倒・転落をした割合を示す指標です。
2016年度より発生率はゆるやかに減少傾向にありましたが、2020年度にやや増加しています。
これは感染症の影響で入院病床を削減せざるを得なかった時期に比べ入院患者数が増えていることも少なからず影響していると考えられます。
今後も転倒・転落のリスク・発生を少しでも減らし、また転倒・転落による損傷が防げるよう、病院全体で継続した活動に取り組んでいきます。
19.褥瘡発生率
定義:
〇褥瘡発生率 (毎月の全院内褥瘡発生数/1か月の入院患者数×100(%))の年平均
〇推定発生率 (調査日に褥瘡を保有する患者数ー入院時既に褥瘡保有が記録されたいた患者数)/ 調査日の施設入院患者数×100(%)
褥瘡(床ずれ)は発生すると痛みを伴うことや感染を引き起こしたり、患者の自発行動の妨げや入院日数の増加などに影響を及ぼします。
当センターでは多職種からなる褥瘡対策チームで対策や検討をすることにより、褥瘡発生を最小限に努めています。
20.キャンサーボードの開催
定義:
キャンサーボードの開催回数
キャンサーボードとは、各専門領域の医師等が患者さんの治療法を包括的に話し合う場のことです。
2022年度は106回開催されています。
21.高齢者における事前指示(ACP)
定義:
ACPチームによる面談回数(2020年度より新設したチーム)
ACP(Advance Care Planning)とは、患者さん・家族と医療従事者が今後の治療や療養の内容について患者さん自らの意向に
基づき予め話し合うというプロセスのことです。
超高齢社会・多死社会を目前にACPは、高齢者がその人らしい生き抜ける医療選択をするために、とても重要なものです。
年々医療現場においてACPの需要も高まっており、2022年度から意思決定支援チームの看護師を増員し、ACPの実施件数は年々増加しています。
そのACPをもとに、患者さんに最善の医療を提供できるよう日々努めています。
22.服薬指導
定義:
薬剤管理指導料(救命救急入院料等算定患者)、薬剤管理指導料(安全管理を要する医薬品投与患者)、薬剤管理指導料(その他の患者)の合計件数
入院患者に服薬指導を実施した割合です。医薬品の適正使用を促したという指標になります。
2022年度は若干の減少ですが、これは2021年度以降と同様に感染症対応下での患者数減少等の影響があります。
23.栄養指導(個人・集団)
定義:
入院及び外来患者に対する個人・集団栄養指導の件数
入院される患者さんに対して、医師の指示によって管理栄養士が食事療法について説明し、食生活改善の支援を行っております。
2019年度以降栄養指導件数が減少しているのは感染症対応下での影響と考えられます。