※写真はご本人、ご家族の許可を頂いた上で掲載させて頂いております。
こんにちは。心疾患を担当している管理栄養士です。『栄養』と聞いて何を連想しますか?ごはん?ハンバーグ?サラダ?また、『栄養士』と聞いて連想するものは、たいてい『給食のおばちゃん』ではないでしょうか?
しかし、心臓病診療における栄養は、『単に食事をする』というだけではありません。多すぎず、少なすぎず、必要な栄養を適切に補給することが重要です。適切な栄養管理により、良好な栄養状態を保つことで、治療効果が最大限に発揮されやすくなります。また、適切な栄養管理を継続することは、心臓病の再発予防につながります。
栄養科は華やかな結果を出す部門ではありません。しかし、心臓病診療を支えるためには栄養の底力が不可欠です。では、具体的な心臓病栄養管理における業務内容をご紹介させていただきます。
入院中の栄養管理
適切な栄養管理を行うために
管理栄養士は、患者さんの疾患、生化学検査、身体計測、食事摂取状況など主観的客観的情報をもとに、一人一人の栄養状態を総合的に評価します。そこで栄養障害がある、または栄養状態の低下リスクがあると判定された患者さんには、入院中の栄養管理計画を作成します。この計画をもとに栄養療法を実施し、定期的に栄養状態の再評価を行い、随時計画を見直し、継続的な栄養管理を行います。
患者さんに寄り添った食事提供
入院中の唯一の楽しみともいえる食事ですが、十分に食べられないといったことも珍しいことではありません。そのような時は、管理栄養士が訪問し食事の相談に伺っています。摂取困難となる症状や嗜好を確認し、食べやすい食品や食形態、かつ必要な栄養量が補給できるよう、個別に食事調整を行っています。
食事を準備しているのは、30名の厨房スタッフです。当センターには約100種類の食種があり、1日3食365日、1回250食の調理をしています。回転釜やスチームコンベクションを使用した大量調理から、アレルギーや食思不振に対応した個別調理まで多岐にわたります。患者さんが安心して召し上がれるよう、安全で心のこもった食事提供を心がけています。病院食は退院後の食事療法にも役立ちますので、是非ご参考にしてください。
食事ができないときの栄養サポート
栄養の基本は、口からおいしく食べることです。しかし、口から十分な食事を摂取することが難しい場合、『経腸栄養』あるいは『静脈栄養』で栄養補給を行います。管理栄養士は、必要に応じて栄養剤の選択や投与方法などを提案します。
【経腸栄養】
チューブやカテーテルを用いて、胃や腸に必要な栄養を直接投与する方法です。鼻から入れたチューブの場合は経鼻栄養、胃に穴をあけてチューブを挿入する場合は胃瘻といいます。経腸栄養は、一見大変なことになってしまったように思われるかもしれませんが、実は食事に近い生理的な補給方法です。
【静脈栄養】
口から食べることができず、かつ胃や腸が使用できない場合、経腸栄養を開始することができないため、静脈輸液で栄養補給をします。静脈栄養には、腕など末梢の血管から投与する末梢静脈栄養と、心臓に近い太い血管から投与する中心静脈栄養の2種類があります。どちらの栄養法を実施するかは、静脈栄養の期間により選択することとなっています。しかし、実際は期間だけでなく、投与したい栄養量や疾患の状態など総合的に捉え、より有益であると判断される方法を選択しています。
栄養管理における多職種の協力
より良い栄養管理を実践するためには、様々な職種の協力が必要です。医師と密な連絡は、病態の把握や投与栄養量・栄養状態の報告を行うために重要なことです。看護師は患者さんの直接的なケアを行っており、食事摂取のみならず、食事にかかわる環境や排便状況など様々な情報を共有します。さらに、食事摂取に影響する薬剤、リハビリに伴う必要栄養量の増加など、栄養は多方面から管理する必要があります。このように、心臓病の栄養管理は管理栄養士だけでなく、医師、看護師、薬剤師、リハビリスタッフ、医療相談員(MSW)など、多職種で協力のもと実施されています。
退院後の栄養管理(栄養相談)
術後合併症の予防、疾患の再発予防のために、退院後の栄養管理が大切です。
栄養相談は予約制となりますので、ご希望の方は担当医師にご相談ください。
(個別 30分)入院・外来:
平日 9:00~12:00、14:00~16:00
土曜 9:00~12:00
(集団 45分)入院のみ:
糖尿病教室 第1・3木曜 13:00~13:45
減塩教室 第2・4木曜 13:00~13:45

