私たちは東京ベイ・浦安市川医療センターで働いている薬剤師です。
患者さんにお薬の説明を行うと、ときどき「病院の中にも薬剤師っているんだね!」と驚かれることがあります。
私たち病院の薬剤師がどんな仕事をしているか、その一部を紹介します。
私たちは患者さんのお薬を処方せんに基づき調剤しています。
このときにお薬の投与量や飲み方、飲み合わせなど問題がないか、検査値と照らし合わせてチェックを行っています。
また、お薬には飲み薬の他に注射薬がありますが、直接体に投与する注射薬は清潔な環境下で調製が必要な薬剤です。
そのような注射薬や抗がん剤は無菌調製(むきんちょうせい)を行っています。
また、お薬の専門家として、病院内の医師や看護師に医薬品情報の提供も行っています。
私たち薬剤師は、薬局だけにいるのではなく、病棟に常駐している薬剤師(病棟薬剤師)は入院中の患者さんのお部屋までお薬の説明に伺っています。
私たちの仕事は患者さんから見えにくいことが多いです。
しかし、安心・安全な薬物治療のために大切な仕事です。
循環器病棟における薬剤師の役割~チーム医療の一員として薬学的ケアを実践~
病棟薬剤師は患者さんが入院した時、これまでに使用していたお薬の使用状況、アレルギーや副作用歴などのお話を伺います。
入院前に毎日飲んでいるお薬があるときは、現在の病気の状態から、入院中お薬を続けるか医師と検討を行います。
また、薬アレルギーのある薬剤が投与されないように情報登録を行います。
患者さんの入院中はお部屋に伺い、お薬が適切に使用され副作用が出現していないかチェックを行っています。
特に循環器病棟では抗凝固薬や抗血小板薬などの血液サラサラ系のお薬や、抗不整脈薬など安全に使用するために注意が必要なお薬が処方されますので、モニタリングすることがとても重要です。


<心臓病患者さんが内服する主な治療薬>
・降圧薬(血圧を下げる薬): 高血圧が続くと心筋梗塞や心不全など様々な合併症を引き起こします。血圧を適切にコントロールすることで合併症を予防します。
・抗血小板薬、抗凝固薬(血管内をさらさらにする薬): 血管の中に「血栓」という血液の塊が出来て詰まらせてしまうことがあります。心臓に酸素を届ける血管が詰まって起こるのが心筋梗塞という病気です。このように血管に血栓が出来てしまう病気を予防するために、血液をさらさらにする薬を使います。
・抗不整脈薬: 不整脈とは心臓のリズムや不規則に乱れたり心拍数が多くなったり少なくなったりする状態です。症状や原因は様々ですが、一部の不整脈は心臓の機能を低下させ、突然の失神をひきおこすため治療が必要です。薬を用いて不整脈を治療し脈拍を整えることがあります。
このほかにも、心血管病の重要な危険因子である脂質異常症や糖尿病などに対して、コレステロールや中性脂肪を下げる薬や、高血糖の状態を改善する薬など様々な薬を組み合わせて治療を行うことがあります。
服薬説明の際は、患者さんが入院中だけでなく、退院後もお薬を安心、安全に飲み続けられるような説明を心がけています。
たとえば、心不全が進行してしまった患者さんは一度退院しても入退院を繰り返してしまう場合があります。
お薬を医師の指示通りにしっかりと飲み続けることが重要ですが、中にはなんらかの理由でお薬を飲めない、飲むのをやめてしまう患者さんがいるのが実情です。
単なるお薬の説明ではなく、ひとりひとりの病気に合わせて、お薬の必要性や副作用で注意するポイントを丁寧に説明しています。
また、医師、看護師、他のスタッフと連携してチームで意見を交わしながら、患者さんに最適なお薬の飲み方を検討し退院後の服薬支援を行っています。
入院中など、ご不明な点があれば、どうぞお問い合わせください。