ハートチームとCCU看護師
私たちCCU(coronary care unit、冠動脈集中治療室)看護師は、主に心臓血管外科、循環器内科の患者さんの看護に携わっています。
当センターでは2013年に心臓血管外科を新設し、循環器内科、心臓血管外科から成る「ハートセンター」を立ち上げています。ハートセンターを中心として、医師、看護師、コメディカルがチームとなり、心臓疾患に関わる治療を行っています。
そのわずか2年後の2015年にはその実績が高く評価され、異例のスピードで経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI/TVAR)の実施施設に認定されました。
2017年上半期の心臓血管外科手術症例数は前年度比8%増となりました。
これは半年間休みなく手術をして約1.4例/日の手術ペースであり、実際は緊急手術を除く待機手術だけでも日に2〜3例というハードさです。
TAVIに関しては一日で4例も珍しくありません。
また、通常では後方支援となっているHCUに入床する心臓カテーテル後の患者さんも、緊急度が高く補助循環を要するクリティカルなケースではCCU適応となります。
さて今回は、そのような患者さんと一緒に毎日を過ごすCCU看護師の仕事をご紹介したいと思います。
CCU看護師の一日
私たちの一日は、一般病床の看護師同様情報収集と引き継ぎから始まります。
日勤では8時30分から申し送りとなりますが、それ以前に心臓外科チームの朝回診が始まるため、主に夜勤の受け持ち看護師がラウンドに同行し、一日のto doを確認します。
そこで処置や安静度を確認の上、リハビリスタッフとその日のリハビリプランを調整しておきます。
CCU内での勤務の引き継ぎはとても事細かなものです。
デバイス類、高度医療機器(人工呼吸器、輸液ポンプ、CHDF、ペースメーカー、IABP、PCPSなど)の設定、モニター値(心電図波形、ボリュームビュー、スワンガンツデータ)など全て目視をもってダブルチェックし、事故を未然に防ぐべく徹底した安全管理に努めています。
引き継ぎを終えたら、検査(採血、エコー、CT、MRIなど)や処置(デバイス挿入、胸腹腔穿刺、ドレーン抜去など)、清潔ケア、リハビリ、転棟、術後受け入れと、怒濤の様な一日が過ぎていきます。
CCUにおける患者さんと看護師の関わり
CCU内で治療中の患者さんの病名は、大血管疾患、冠動脈疾患、心臓弁膜症、肺塞栓症、感染性心内膜炎、など多岐に渡ります。
その緊急度、重症度は高く、採血に関しても1〜2時間毎に行うケースも珍しくありません。
検査やデータ結果に応じ、治療方針も経時的に変化していくため、数十分、数分単位で状況が大きくかわることもあり、患者さんから片時も目を離すことはできません。
急変や緊急事態、重篤な疾病の発生には患者さんのみならず、ご家族にも大きな影響を及ぼします。
感情の混乱、治療やケアに対する情報の不足、人工呼吸器や補助循環装置などの高度医療機器に囲まれた環境への戸惑いなど、ご家族に及ぶ影響の種類や程度はケースによって異なります。
しかし、個々のご家族にどのようなケアが必要かを明らかにし、ハートチームの一員として早期に介入できるよう調整を行うのも私たちCCU看護師の大きな役割になります。
目の前の患者さんに起きている危機的状況を正しく理解しアセスメントすること、専門的な知識を持つCCU看護師が患者と医師の架け橋となりアプローチすることはハートチーム内での大きな鍵になりうるのです。