手術の前からリハビリテーションは始まります!

「手術の次の日からリハビリをしていきますよ」と聞いて驚かれる方は多いと思います。

ここでは心臓チームのリハビリテーションについて紹介していきます。
心臓チームに所属しているリハビリスタッフは理学療法士4名がいます。
理学療法士の仕事は、患者さんによりそって、実際にリハビリを進めることです。
そのために心臓血管外科や循環器内科、集中治療科の医師、看護師など多職種と連携を密に取り、患者さんが退院してからも安心して生活できるように常に戦略を考えています。

理学療法士は、ハートチームの一員として朝のカンファレンスに参加し、手術の方法や手術後の経過について情報共有をしています。
その後は、心臓血管外科の医師とともに回診を行い、術後の状態やリハビリ状況を確認します。
私達は医師と綿密に連携を取ることができるため、患者さんの治療方針や課題を様々な立場で共有することができます。

当センターでは、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患に対するバイパス術、大動脈弁や僧帽弁の弁膜症に対する弁置換術や弁形成術、動脈瘤などの血管手術などなど様々な患者さんにリハビリを行っています。
多くの患者さんは手術の翌日からリハビリをしていきます。

「手術の次の日からリハビリして大丈夫ですか…?」と多くの患者さんから不安そうに尋ねられます。

ところが…
実際には手術前からリハビリは始まっています!
手術前から理学療法士が一人一人の生活状況(普段から階段は使うのか、仕事内容等)や身体能力(関節可動域、筋力等)を確認し手術後スムーズに退院できるように問診・評価を行っています。
このような準備はリハビリの始まりです。
さらに、手術後のリハビリに向けて呼吸の練習を始めることもあります。

手術後はICU(集中治療室)から実際のリハビリが始まります。
術後状態を医師や看護師と情報共有し一人一人、その日の目標を立てます。
理学療法士は術前の身体能力と比較し手術による合併症がないか確認します。
合併症が疑わしい場合には、直ちに医師に報告し、迅速な診断に結びつけます。
合併症がなければ、ICUで呼吸練習や座る・立つ等の練習を始めます。
手術の直後なので、血圧や呼吸の状態を細かくチェックし問題がないか確認することが大切です。

ICUから一般病棟へ移るとリハビリはさらに進んでいきます。
歩く練習から階段昇降練習に進み、さらには宿題なんかも出したりします。
この段階は退院に向かって治療とリハビリを進めるタイミングです。
退院が近づくとその後の生活の注意点や運動について患者さんと相談していきます。
看護師、薬剤師、管理栄養士からも同様に退院後の生活について説明があります。
退院後のより良い生活のヒントを求めて多くの職種が連携しています。

理学療法士は日曜日・祝日は休みとなっていますが、リハビリは途切れません。
病棟看護師にリハビリ内容を申し送るからです。
さらに、2017年3月からリハビリ専門の医師が週末を中心に、患者さんのリハビリのフォローと術後のリハビリについて指導をしています。
現在、リハビリの質を向上させるためのミーティングを繰り返し、運動負荷試験(CPX)の導入などを検討しています。

理学療法士が入院中に向き合う時間は限られています。
それでも退院後により安心してより良く生活できるように、お一人お一人と向き合いながらチームで解決策を探しています。
理学療法士の仕事は、術前から患者さんの退院後の生活を想像し、術後にはそれぞれの状態に合わせて修正し、他職種と連携を深めながら、患者さんに最適な医療、最適なリハビリを提案することです。
私達は患者さんのすぐそばにいます。
どうぞ、お気軽にご相談ください。

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