今日も、紹介状を携えた患者さんが私達の外来を受診しています。
中には症状がないのに重症の心臓病と診断され、驚いて外来にかけつけた患者さんもいます。
外来診察室では、十分な問診に続いてベッドで診察が始まりました。
十分な強さの脈は触れるか、心雑音はないか、慎重な診察が続きます。
外来の生理検査室では、心電図の記録が終わった患者さんが心エコー図検査を受けています。
放射線や造影剤を使わずに心臓全体の動き、細かい弁の動き、心臓の異常を客観的に捉える重要な検査です。
CT室では、より精密な検査が必要とされた患者さんが冠動脈CTや弁膜症治療選択のためのCT検査を受けています。
一昔前と比べると必要な造影剤の量も減り、検査精度も格段に上昇しました。
病棟には心配で胸一杯の患者さんやご家族がナースに病状を相談しています。
病棟ナースの仕事は病状の変化を誰よりも早く捉えることから患者さんの不安をとることまで多くの領域に及びます。
説明室では数日後に予定されたTAVI(タビ)の説明をご家族とともに聞いている大動脈弁狭窄の患者さんがいます。
説明を聞くのは外来と合わせてもう3回目です。
重症で症状があるけれど開胸術(かいきょうじゅつ)が困難な患者さんにとって、心臓を止めずに治す弁置換術TAVIは大切な選択肢です。
病棟の廊下は、リハビリ技師に付き添われた患者さんが、少しずつ歩く練習をしています。
手術後3日目ですね。
心臓カテーテル室では、さきほど救急車で搬送された急性心筋梗塞の患者さんがステント挿入術を受けています。
冠動脈造影からステント治療まで安全に実施するためには、十分なスキルが必要です。
実はこの部屋、午前3時にもライトが付き、別の患者さんの緊急治療がおこなわれました。
明日は発作性心房細動に対するカテーテルアブレーションが予定されています。
これも心臓を止めずに治す不整脈治療です。
心房細動は脳梗塞や心不全の原因になりますが、早期の至適時期治療が成功率を上げています。
手術室では、僧帽弁逆流の患者さんに最小限の傷で治すMICS(ミックス)手術が始まっています。
手術後5日で退院できるため、沖縄や北海道からも多くの患者さんがやってきます。
手術が始まって3時間後、昼過ぎには画像診断チームが呼ばれ、手術室のなかで治療成果を判定します。
隣のHybrid(ハイブリッド) 手術室は、今日は静かです。
来週月曜日には4例のTAVIが予定されています。
当日は午前9時から午後4時過ぎまで、循環器内科医、心臓血管外科医、麻酔科医などが集う熱い闘いが待っています。
夕方5時には心エコー図、カテーテル検査、手術の検討会にあちこちからスタッフが集まります。
この会議は多くの職種が率直な意見をだすことが義務づけられています。
医師だけではなく、リハビリ担当技師やナースなど様々な立場の専門家が今日も発言するでしょう。
そして朝8時。
ハートセンターの全部門が集まるハートカンファレンスが始まります。
カンファレンスの準備は7時に始まっています。
ここでは、その日に治療される症例や課題を抱えた症例を全員で考え、前に進みます。心臓病という過酷な現実に直面した患者さんに貢献するために、私達にできることを探します。
東京ベイのハートセンターはあなたの心臓をチームで守るために、今日も動いています。
チームは個人のスキルを越えて、今日も成長を続けています。
成長こそ我々の使命です。
渡辺 弘之
東京ベイ・浦安市川医療センター
ハートセンター長