透析患者さんに対する経カテーテル的大動脈弁置換術に新たな選択肢

循環器内科 野口 将彦

こんにちは、循環器内科の野口です。

TAVI(Transcatheter Aortic Valve Implantation)は、心臓の出口である大動脈弁が狭窄することで、全身にうまく血液が送り出すことができなくなる大動脈弁狭窄症に対する治療法の一つであり、外科手術に比べ患者さんの体への負担が小さいことが特徴です。東京ベイでは、このTAVI治療を2016年から数多くの患者さんに対して行ってきました。しかし、これまで透析患者さんに対するTAVI治療は適応となっておりませんでしたが、2021年2月1日より透析患者さんに対するTAVIが保険適用となり、全国の限られた施設でのみ許可され、東京ベイはその施設の一つとして認定されております。
リンク:東京ベイ・浦安市川医療センター 透析患者さんに対するTAVI

2023年5月末まで、透析患者さんに対して使用可能な人工弁は、バルーン拡張型弁のみでしたが、本日より新たに自己拡張型弁が使用可能となりました。透析患者さんは、一般的に大動脈弁のみならず全身の血管の動脈硬化を引き起こしやすい状態にあり、体への負担が小さいTAVI治療であっても、透析ではない患者さんと比較して血管合併症などを起こしやすいとの報告もあります。そのため、TAVIに用いられる人工弁の選択肢が増えることで、TAVI治療をより安全に行うことが可能となり、透析患者さんにとっては朗報と考えます。

早速、本日透析患者さんに対して自己拡張型弁を用いたTAVI治療を行いました。

当センターでは、地域の透析治療に携わる医療者のみなさまと連携し、透析患者さんに適切で安全な治療を提供できるよう、さらなる技術の向上を目指して引き続き努力を重ねてまいります。

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