ハートチームの対話でむすぶ心臓のみらい〜東京ハートラボのご紹介〜

みなさんこんにちは。
今回は、東京ベイのハートセンター長 渡辺が関わる東京ハートラボを紹介します。

1.まずはここから、ハートチームの説明

『ハートチーム』は複雑化した心疾患の診療に必須の考え方であり、その実践は世界で多くの成果を挙げています。東京ベイでもその成果は予想を超えるものがあります。それは私達が取り組む課題が単純では無いからです。

単純か複雑か、実例を挙げてみましょう。目の前の心停止は単純な例です。この場面では相談や打ち合わせより即座の心臓マッサージ対応が最適です。一方、いくつもの疾患をもった患者さんをどのように治療するか、これは複雑な課題です。答はすぐには出ませんし、唯一の答がいつもあるとも限りません。治療しないことが最適解の場合すらあります。

心血管疾患の診療は、可能性がある全ての疾患を洗い出すことから始まります。次に疾患と疾患の関連性を検討します。これらの整理された情報に基づいて精密検査の順番、治療のタイミングを決めることになります。さらに最新治療を組み合わせる場合には数少ないデータから最適解を探ることが必要です。

避けたいことはバランスを欠いた治療です。例えば高齢者に、若年者と同じような完璧な治療を考える場合には、入院期間の延長が認知症を進めるリスクと天秤にかけて考える事が必要です。そのためには多方面の専門家の意見や最先端の技術と知識を共有してから結論に向かうチームの態度が求められます。

このように、患者さんの状態を多面的に理解して最適な治療に辿り着くためには、名人よりチームが大切です。ハートチームの実践とは、多職種の専門家が意見を出し合い、忌憚の無い意見交換を行い、最後にはチーム全体で合意形成することといえます。

私達の所属する学会には標準的な考え方を示したガイドラインがありますが、ハートチームもそこに定義されています。例えば弁膜症の分野では『弁膜症の重症度や弁の形態、手術の適応や術式の選択まで含めて議論を行い、上述のごとく複数の分野から、専門知識をもった経験豊富なバランスのとれたメンバーで集まって議論する』チームと書かれています(2020年改訂版 弁膜症治療のガイドライン 日本循環器学会・日本胸部外科学会など)。

2.東京ハートラボとは

東京ハートラボはハートチームを支援するために10年以上前から継続的に活動しているコミュニティです。ZOOMを用いたオンラインセッションやSLACKを活用した非同期のディスカッションが毎日繰り広げられています。

この会での合い言葉は『アホかと言わない・思わない』。ちょっとおかしいでしょうか(笑)。でもちょっとお待ちを。これは、とても大切な考え方を端的に表しています。私達が安心して安全に、立場を脅かされること無く学ぶためには、発言の価値をジャッジすることは極力避けています。

その代わりに、初心者もベテランも平等にアイディアを出し、最後まで意見交換することを目指しています。それこそ、多職種のハートチームメンバーが自由に発言・発信して、真のハートチームに少しでも近づくためのコンセプトです。

このコミュニティの対象は医療機関で働く全てのスタッフです。参加人数は100人から600人程度で、参加国は日本にとどまらずドイツやスイスにも広がっています。時には英語セッションもあります。

東京ハートラボでは『対話』を重視しています。対話を知り、その技術を身につけなければハートチームで忌憚の無い意見交換はできません。対話をどのように学ぶか 答はまだ出ていませんが、私達はハートチームの日常に対話が常にあるように、努力を続けています。

医療関係者の勉強会にはそんな会もあることを、少しでもご理解いただければ幸いです。私達の取り組みが、皆さまの幸せに少しでも貢献出来ますよう、これからも深く広く活動を継続いたします。みなさま どうぞお大事に。

組織概要

名称:一般社団法人東京ハートラボ
所在地:〒279-0001 千葉県浦安市当代島3丁目4-32 東京ベイ・浦安市川医療センター内
連絡先:TokyoHeartL@gmail.com
創立:2006年5月1日
代表理事:渡辺弘之(東京ベイ・浦安市川医療センター、循環器内科医)
役員:
理事 高梨秀一郎(川崎幸病院、心臓血管外科医)
理事 田中信大(東京医科大学八王子医療センター、循環器内科医)
監事 大塚亮(おおつか医院、循環器内科医)

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