生まれつき心臓に空いている「穴」をカテーテルで塞ぎます〜心房中隔欠損や卵円孔開存のカテーテル治療をハートチーム全員で取り組みます〜

先天性心疾患のカテーテル治療(心房中隔欠損、卵円孔開存)

循環器内科 高藤 広弥

心房中隔欠損は心臓の左心房と右心房を仕切る壁(心房中隔)に生まれつき穴が開いている病気で、成人で発見される先天性心疾患では大動脈二尖弁に続き二番目に多い疾患です。息切れ、動悸、浮腫などの症状が出現し、検査の結果発見されたり、無症状で偶然発見されたりします。

基本的には発見された時点で治療適応になることが多く、治療としては外科的手術もしくはカテーテル治療で閉鎖します。欠損孔の大きさ、位置、合併疾患の有無などによってどちらの治療法が良いか、心臓血管外科医、循環器内科医、エコー医を含めたハートチームによる入念な検討により判断を行います。

卵円孔は胎生期に胎盤を通して流れてくる酸素を含んだ血液が「母親から」胎児の全身に循環するために必要な穴です。通常、出生後、数週間から数か月以内に自然に閉鎖されますが、成人の3〜4人に1人は開存したままになっており、心房中隔に組織が重なり合うようにしてスリット状の穴として存在しています。

多くは無症状であり治療適応はありませんが、下肢静脈にできた血栓が卵円孔を通り脳の血管へ飛ぶと奇異性脳塞栓という脳梗塞の原因となります。特に60歳以下の若年性脳梗塞の主要な原因の一つであり、脳梗塞を発症した場合、再発予防のためにカテーテル的(稀に外科的)に閉鎖します。

(図)脳梗塞再発について:内服治療(Medical-therapy group)と比較すると卵円孔閉鎖術(PFO closure group)の方が脳梗塞再発が有意に少ない (Saver JL, et al. N Engl J Med. 2017;377:1022-1032)。

カテーテル治療の場合、両疾患とも学会より認定された施設のみでしか治療できず、当院は両疾患ともカテーテル治療を行うことができる全国的にも稀な施設です。基本的には2泊3日入院で、全身麻酔下で行い、閉鎖栓というデバイス(下記図)を用いた治療となります。治療は30分から1時間程度で終了し、治療翌日には問題なければ退院することができます。

この治療において、カテーテル治療実施医のみだけではなく、エコー医、麻酔科医、さらにコメディカルであるカテーテル室看護師、臨床工学技士、放射線技師など多くのスタッフによる協力が不可欠であります。東京ベイでは、各職種の専門的な知識を活かしては最善のチーム医療を作り上げています。息切れや動悸、脳梗塞などの原因として心房中隔欠損や卵円孔開存が関わっている可能性があります。気になる方がいらっしゃいましたら当院までご相談ください。

先天性心疾患のカテーテル治療の中での看護師の関わり

救急・カテーテル室 看護師  斉藤 寛隆

先天性心疾患に対し、日本国内でもカテーテル治療で対応出来る疾患が増えてきました。
私達の施設では、主に心房中隔欠損症や卵円孔開存、動脈管開存症に対して治療を行っており、2019年1月から12月の間に心房中隔欠損症閉鎖術は17件、動脈管開存症閉鎖術は5件の診療実績があります。
循環器内科 診療実績:
https://tokyobay-mc.jp/cardiology_blog/cardiology_clinical_achievements/2020c/

私達カテーテル室の看護師は、治療を受ける患者さんが安全に治療を受けられるよう、様々なスタッフとコミュニケーションをとり、環境を整え準備や術中の観察、記録や術後の対応を行っております。

大きな機械のあるカテーテル治療室は、その環境から圧迫感を感じる患者さんも中にはいらっしゃいます。検査着や点滴など普段の環境と異なる中での緊張や不安に対し、可能な限りの配慮に努め検査台へご案内致します。

また、カテーテル室内の換気はやや強い為、患者さんの保温に努め、治療中の安全・安楽に配慮した環境を、患者さんの意見を伺いながら対応させていただきます。当院での治療は主に全身麻酔下で行うため、患者さんはお休みいただいた状況下での治療となります。

長時間の治療となった場合は治療中の姿勢が変えられないことから褥瘡(床ずれ)等が発生するリスクを伴います。その為、お休みいただく前に患者さんの快・不快などに意見を伺いつつ環境を整えております。

治療には、カテーテル治療を実際に行う医師のみではなく、エコー医、麻酔科医、カテーテル室看護師、臨床工学技士、放射線技師など多くのスタッフがチームとなって関わります。治療に伴い大きく血行動態が変化する場合が多く、それに伴う変化に気づける知識と技術が求められます。また、治療に必要な資材や環境を整える為、各部署で協力・分担し安全に治療を提供する体制を整えております。

私達チームそれぞれが、治療の進行やそれに伴う合併症などを理解し、対応できる知識が必要であり、日々新たな専門知識のアップデートを行い、チーム全員で力を合わせて治療を行っております。
治療終了後は病棟で引き続き継続した観察が行えるように引き継ぎを行い、スムーズな退院に向け継続した医療提供が行えるように連携しております。

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