皆様 東京ベイ・浦安市川医療センター、ハートセンター長の渡辺です。この記事は2020年4月に掲載予定でしたが、当ホームページは新型コロナウイルスへの情報発信を優先したため、ここに改めて新年度の御挨拶代わりの暑中見舞いを発信します。
2020年度は新型コロナに始まり、ウイズコロナの時代に突入しました。テレビでも新聞でも、そしてインターネットでも様々な情報が飛び交う毎日です。そして最近は水害で、皆様の生活も大きな影響を受けていることと存じます。
私達ハートセンターも、世界中の病院と同じように不要不急の診断や治療は先送りにせざるを得ませんでした。それは防護物資を守り、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者さんを守るためのやむを得ない最初の戦略でした。しかし、特に治療が必要と診断された少なからぬ循環器疾患は、治療タイミングを逃すとCOVID-19と同様に致命的な結果につながります。つまり病気の種類やその状態を診断し、臨機応変に対応する必要があります。
しかし病気の発見は簡単ではありません。循環器疾患の症状は、病気の重症度だけでなく患者さんの活動性にも関連しているからです。新型コロナウイルス感染症の影響で自宅安静が過度に増えると、それだけで症状が出なくなることがあります。それだけでなく、不要な安静は筋肉を落とし、フレイルと呼ばれる虚弱状態を悪化させかねません。自粛で活動性を落とすと、病気が隠れ、筋肉が落ち、命のリスクが高まりかねないのです。
実は、少し動くと症状がある間に診断し、治療することが、治療後の生活の質を維持するコツです。同じ治療なら、効果がある方が良いと思いませんか?ウイズコロナの時代にも適切な治療を受けて退院し、リハビリに励んでいる患者さんは少なくありません。そんな患者さんの声は、従来の対面外来だけでなく、電話外来でもスマホを使ったオンライン外来でも、私達に届いています。次は皆様が治療する番かもしれません。

東京ベイのハートセンターは低侵襲治療の選択肢が多いことが特徴です。外科手術なら開胸手術かMICS(ミックス)やTAVI(タビ)、大動脈瘤なら開胸・開腹かステント治療があります。さらに専門的なカテーテル治療の守備範囲は急性心筋梗塞、狭心症、末梢動脈疾患、不整脈からASD(心房中隔欠損症)、PFO(卵円孔開存)、心房細動の左心耳閉鎖治療(ウオッチマン)、PDA(動脈管開存症)にまで拡大しており、いずれも東京ベイのハートセンターで治療が受けられます。
ウイズコロナの時代でも、私達は循環器疾患診療にハートチームで最適な治療を提案します。私達は以下の三つを念頭に診療しています。
- 低侵襲治療が最適とは限らないこと
できるからするのではなく、どの治療が最適かを考えることが重要です。低侵襲治療は、治療に適した患者さんにとってはリスクを下げますが、適さない場合にはリスクが上がるからです。 - 常に患者さんやご家族との合意に基づくこと
嫌がる治療は勧めません。病気の治療は、ご本人と家族を含めたチームの闘いです。十分な説明で、病気の中身と治療の中身をご理解いただいた上で治療を検討します。 - 治療しないことも重要な選択枝であること
特に高齢の患者さんでは、診療することは重要な人生の選択です。特に高度にフレイルな場合など治療の意義が明らかでなければ治療しないことも選択枝と考えています。
東京ベイ・浦安市川医療センターは、密を避ける工夫を日々改善しています。また外来では、様々なニーズに応えるため、初めての患者さんも使えるオンライン外来や、再診に便利な電話外来も活用しています。さらに、受診を迷っている患者さんのために無料メール相談も実施しています。そしてハートセンターは、常に最適な治療を探しています。どうぞお気軽にご相談ください。一緒に最適な治療を考えましょう。
最後に 今年も暑い夏がやってきました。どうぞ熱中症や脱水に注意されますように。この記事が皆様の健康に参考になれば幸いです。どうぞお大事に。
2020年 7月吉日
東京ベイ・浦安市川医療センター
ハートセンター長 渡辺 弘之
