MRI(磁気共鳴画像診断法:Magnetic Resonance Imaging)は、強力な磁石と電磁波を用いて、身体各所の断層像を観察できる検査です。近年のMRI装置の進歩により、つねに動いている心臓でも使われるようになりました。心臓MRI検査を使用して、少ない負担で冠動脈や心筋、心臓弁膜症について評価することができます。
1. 心臓MRIでわかること
心臓MRIはいろいろな撮影方法があり、目的や疾患に応じて使い分けています。ここでは当センターで行われている撮影法について見てみます。
1.心筋の動き、形の評価
これまでMRI検査は静止画しか撮影することができませんでしたが、当センターで使用しているMRIでは動いている心臓を動画として撮影できます。この画像をシネ画像と言います。シネ画像を用いれば、心臓の動き、心筋の厚さ、血液の拍出率、心臓の容積などがわかります。これらは心臓超音波検査でもわかるのですが、体型や肺気腫などのために超音波検査で観察しにくい方でも、MRIであれば良好な画像を得ることができます。
2.心筋のダメージの評価
ガドリニウム(Gd)造影剤を静脈に注射して行う検査です。Gd造影剤を注射した後にMRIの撮影をすると、心臓がダメージを受けている部分は遅れて造影されます(遅延造影)。この遅延造影を利用して、「心筋梗塞」を起こした部位や心筋のダメージの程度を評価することができます。また、遅延造影は「心筋梗塞」以外にも「サルコイドーシス」などその他の心疾患の診断の助けになることもあります。
2. 心臓MRIを受ける上での注意点
次に該当する方はMRI検査が受けられない場合がありますのでご注意下さい。
・心臓ペースメーカー、除細動器を留置している
・初期の脳動脈瘤クリップ、人工内耳を留置している
・造影剤アレルギーがある
・腎機能が悪い
・閉所恐怖症
・妊娠中、または妊娠の可能性がある
(文責:神尾恭弘、小船井光太郎)