動脈管開存症(Patent Ductus Arteriosus: PDA)とは

動脈管開存症とは、心臓から肺へ血液を送る肺動脈と心臓から全身へ血液を送る大動脈が、細い動脈管によってつながっている疾患です。動脈管はもともとお母さんの胎内では開いており、生後自然に閉じるのが一般的です。ところが、動脈管が生後自然閉鎖せずに肺動脈と大動脈がつながったままの状態になると、血圧が高い大動脈から肺動脈の方に血液が流れ込むようになってしまいます。その結果心臓(特に左房と左室)が拡大したり、また肺高血圧を生じたりして心不全に陥る危険性もあります。 動脈管が小さくても心雑音が聴こえる場合には、大動脈から肺動脈に流れ込む血液は少ないですが、抜歯などをきっかけに「感染性心内膜炎」という病気になる危険性もあります。一般的には、心エコーでPDAが認められ、心雑音が聴取される場合などは閉鎖術が検討されます。

提供:Abbott

治療方法

治療法は年齢や動脈管の形や大きさに応じて外科的手術もしくはカテーテル治療が選択されます。
当センター循環器内科では、体に負担の少ないカテーテル治療を積極的行っており、日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)が認定する治療施設としては千葉県内では唯一の認定施設です(2019年末現在)。動脈管の大きさや合併疾患によってはカテーテル治療が困難な場合もあり、当センターハートチームによる入念な術前の検討により判断を行います。

提供:Abbott

カテーテル的PDA閉鎖治療方法

治療は心臓カテーテル室で局所麻酔下で行われます。そ径部(足の付け根)から大腿静脈を穿刺し、細い管であるカテーテルを心臓に進め、動脈管を通過させ、計測結果をもとに適切なサイズの閉鎖栓を選択し、閉鎖します。

提供:Abbott

カテーテル治療後は通常4時間程度ベッドで安静後、起き上がって歩くことができます。経過が順調であれば翌日退院となります。退院前には胸部レントゲンや心臓超音波検査を行い、退院後も定期的な経過観察を行います。

医師紹介

小船井 光太郎

おぶない こうたろう

循環器内科部長
経皮的動脈管閉鎖術 認定実施医

菊地 慶太

きくち けいた

心臓血管外科 副部長
低侵襲心臓手術(MICS)施行医

当センターハートチームによる心臓病診療のご紹介

心臓病の診断から治療

狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患は、冠動脈が狭くなったり詰まったりすることで心臓の筋肉への血液の供給が不足し胸痛などの症状をきたす疾患です。このような疾患の治療法のひとつとして、冠動脈インターベンション(心臓カテーテル治療)があります。

狭心症・心筋梗塞

狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患は、冠動脈が狭くなったり詰まったりすることで心臓の筋肉への血液の供給が不足し胸痛などの症状をきたす疾患です。このような疾患の治療法のひとつとして、冠動脈インターベンション(心臓カテーテル治療)があります。

心エコー図

心エコー図検査とは超音波を利用することで心臓の形態や機能を評価する画像診断法です。当センターの心エコー図検査室は、経胸壁心エコー図検査をはじめ各種心エコー図検査を熟知した複数の専門医師および専門技師が繰り返し検査を評価するため常に質の高い心エコー図検査を提供することができます。

TAVI(経カテーテル大動脈弁植え込み術)

心臓の出口である大動脈弁が硬くなって、出口が狭くなる病気、それは大動脈弁狭窄症です。重症の大動脈弁狭窄症は命にかかわる病気であり、最も確実な治療は人工弁に置換する手術(大動脈弁置換術)です。TAVI(タビ)は、心臓以外の病気を抱えていたり、体力が低下していて手術に耐えられないような大動脈弁狭窄症の患者さんに対する最新治療です。

低侵襲心臓手術(MICS、ミックス手術)

心臓血管外科では、胸骨を切らない低侵襲心臓手術(MICS、ミックス)を積極的に行います。僧帽弁形成術・置換術、三尖弁形成術、心房中隔欠損閉鎖術、心房細動などの手術(メイズ手術)は、骨を切らない・折らない・開かない完全内視鏡下手術を行っています。大動脈弁の手術は、直視下の右小開胸アプローチや胸骨を半分だけ切る胸骨部分切開で行っています。

大動脈弁手術(大動脈弁形成術・置換術)

大動脈弁に重度の狭窄や逆流が生じると、薬での治療が困難になってきます。そもそも狭窄や逆流そのものは薬では改善しません。そのような場合は手術あるいはカテーテルの治療が必要になります。大動脈弁の手術には、大動脈弁置換術と大動脈弁形成術があります。

経皮的末梢動脈形成術

内服治療で改善が見込めない場合や重症な状態であるときなど、多くの病変が適応となっ…

経皮的腎動脈形成術

腎動脈の狭窄を解除する治療法は、現在では侵襲の少ないカテーテルによる風船治療やス…

心筋シンチグラフィー

心筋シンチグラフィーは、心筋に集まる特殊薬(放射性医薬品)を注射して心臓に血液が…

心電図

心電図検査は、心臓の電気的な活動の様子を記録することで、心疾患の診断と治療に役立…

心臓MRI

MRI(磁気共鳴画像診断法:Magnetic Resonance Imaging…

心臓CT

心臓CTとは、造影剤を使用して冠動脈やその他の心臓や血管の形態を評価する検査のこ…

当センターハートチームのご紹介はこちら

ハートセンターの詳細ページはこちらからご覧ください。

近くても、遠くても、心臓血管治療が必要な方をいつでも診療いたします

私たちのハートセンターでは救急科と連携して、心臓救急治療に迅速に対応できる体制を24時間365日完備しております。命にかかわる病気である心筋梗塞、大動脈瘤破裂や大動脈解離などの急性大動脈疾患にたいして、早期治療により助かる患者さんを確実に助ける、それが我々の重要な使命です。緊急時搬送手段は様々です。当ハートセンターでは、近くても遠くても、救急車からドクターヘリまで受け入れ実績があります。

東京ベイから全国へ最先端医療の情報発信をして行きます

私たちハートチームが第一に考えているのは、目の前の患者さんと向き合い、心臓や血管の病気からお守りしたいということです。そのために、地域の医療を大切にするとともに、遠方からの期待にも応えます。これまでも、そしてこれからもドクターカーからドクターヘリまで期待に応え、市民公開講座やミニ循などで、真摯に活動して参ります。
それと同時に、私たちハートセンターが現実にとどまること無く前進するために、臨床成果をアカデミックな立場で継続し、価値ある情報を積極的に国内外に発信します。私たちハートセンターは、心臓血管治療における国内外の有名施設で十分な研鑚を積み、あるいは指導的立場であった医師やコメディカルたちが集まり、ハートチームを形成しています。それぞれのメンバーが国内外の様々な場でチームとして情報発信します。さらに、与えられた場だけでなく、自ら学ぶ場を作り発展させることで、世界の医療に貢献したいと考えています。

メニュー