人間ドックの腹部超音波でまさか肝臓に異常?どうしよう!?

人間ドックの腹部超音波でまさか肝臓に異常?どうしよう!?

健康診断などで一度は腹部超音波検査(エコー検査)を受けた経験のある方も多いのではないでしょうか。一般に検査は、⑴症状がない方を対象とし病気の早期発見を目的としたスクリーニング検査と、⑵腹痛などの症状や検査の異常がある方を対象とする精密検査の2つに分けられます。今回は健康診断や人間ドックなどのスクリーニング検査でたまたま見つかる肝臓の異常についてお話します。

Q. そもそも超音波検査とは?

お腹を超音波で調べることを腹部超音波検査と呼びます。この検査では高い周波数の音波(超音波)を皮膚の表面にあて、返ってくる音波をみることで臓器や血管の状態を調べます。皮膚の表面部分に超音波を発信する装置(プローブ)をあて、内臓からの反射波をその装置が受けとり電気信号にかえてモニターに写します。きれいな画像が得られるように装置をあてる部分にはゼリーを塗ります(A)。

超音波検査の利点として、⑴体に侵襲がない(痛くない)、⑵レントゲン検査やCT検査と異なり被曝の心配がない、⑶リアルタイムの画像が見られる、⑷その他の検査と比較し安価であることが挙げられ、健診でも良く用いられます。

Q. 腹部超音波検査で何を見ているの?

肝臓、胆のう、膵臓、腎臓、脾臓などの臓器や血管などを見ています。また腹水や腹部大動脈瘤、リンパ節の腫れなどが見つかることもあります。

Q. 腹部超音波検査でわかる肝臓の病気とは?

肝血管異常
肝血管腫
脂肪肝
肝腫瘍
肝内石灰化
肝内胆管拡張
肝嚢胞
慢性肝障害
肝硬変

などが挙げられます。
日本人間ドック学会の広報を参考に一つずつご説明します(A)。

肝血管異常
肝臓内の血管(肝動脈、門脈、肝静脈)の太さや形に異常が見られます。瘤や血栓など重篤な病気が隠れていることもあります。腹部超音波検査だけで判断することはできませんので精密検査を受けて下さい。

肝血管腫
原因は不明ですが、血管が集まってできる肝臓の代表的な良性腫瘍です。徐々に大きくなることもあるため経過観察を受けて下さい。稀ではありますが悪性の場合も似た画像を示すことがあるため精密検査を必要とすることもあります。判定の指示に従うことをお勧めします。

脂肪肝
脂肪肝とは肝臓に脂肪が過剰に蓄積した状態です。人間ドック受診者の20−30%が脂肪肝との報告もあります(B)。脂肪肝の原因としては大きくアルコール性のものと非アルコール性のものに大別されます。これまでは良性の病気と考えられていましたが、脂肪肝から肝硬変・肝細胞癌へ発展することもあるため生活習慣の改善や病院受診をお勧めします。

肝腫瘍
肝臓の腫瘍には良性腫瘍から悪性腫瘍まで色々な腫瘍があります。良性か悪性かの鑑別のため、精密検査を受けて下さい。肝臓の悪性腫瘍には肝臓自体から発生した腫瘍(原発性腫瘍)と他の部位から転移してきた腫瘍(転移性腫瘍)があります。原発性腫瘍では肝臓がんが多くを占め、転移性腫瘍では、消化管、胆道、膵臓、子宮、卵巣等に発生した腫瘍からの転移が多くを占めます。

肝腫瘤
腫瘍の可能性の低い結節像(炎症後の瘢痕など)を肝臓に認めます。精密検査の必要はありませんが、経過観察を受けて下さい。

肝内石灰化
肝臓にできたカルシウムの沈着のことをいい、エコーでは白く描出されます。過去に損傷、結核や寄生虫感染、出血などが生じ、現在は治った痕を見ている場合がほとんどです。特に治療や経過観察の必要はないことが多いですが、判定の指示に従って下さい。

肝内胆管拡張
肝臓内の胆管(胆汁の通り道)が通常より太くなっている状態です。総胆管結石や腫瘍(胆管癌・膵臓癌など)により流れが悪くなっている可能性がありますので精密検査を受けて下さい。

肝嚢胞
液体が貯留した袋状の病変です。単発あるいは多発し通常は無症状で治療の必要はありません。嚢胞が大きくなると腹部膨満感や圧迫感等の自覚症状が認められることもあり、稀に感染、出血、破裂をきたすこともあります。大きくて症状がある場合にのみ外科的切除の適応となります。

慢性肝障害
肝障害が継続的に起こっている、あるいは起こっていたことが考えられます。慢性肝障害の原因として、飲酒、脂肪肝、B型肝炎、C型肝炎、自己免疫性肝疾患などがあります。慢性肝障害は肝硬変へ移行するリスクの高い状態です。肝障害の原因や進行具合などの精密検査が必要です。

肝硬変
アルコール性肝炎やB型肝炎、C型肝炎等により、肝細胞に繊維化が生じ硬くなった結果、肝機能が低下してくる状態を指します。脂肪肝のところでも触れた通り、最近では一部の脂肪肝が肝硬変に進展することもわかってきています。進行した肝硬変の予後はとても悪く、早期の治療が必要ですので必ず精密検査を受けて下さい。

最後に

腹部超音波検査は簡便で有用性の高い検査ですが、それ一つで全てがわかる完璧な検査ではありません。血液検査やCT・MRI検査などと組み合わせた総合的な判断が必要となることも多く見られます。健康につなげるための健康診断・人間ドックですので、自己判断はせずに判定の指示に従うようお勧めします。

文責:吉野 かえで

(A)
日本人間ドック学会 検査メニュー:腹部超音波
http://www.ningen-dock.jp/public/inspection/abdomen

(B)
日本消化器病学会 検診で「脂肪肝」−安全?危険?
http://www.jsge.or.jp/citizen/2006/touhoku2006.html

◆ 東京ベイ・浦安市川医療センター 総合内科

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