「グラム染色に燃えるのも素晴らしいことやけどね、是非心電図にも燃えてください。」〜東京ベイGIM朝カンファレンス〜

東京ベイ総合内科です。東京ベイ総合内科の学びは朝から始まります!今回は、朝カンファレンスの様子をご紹介します。

朝には、大きく分けて2種類のカンファレンスがあります。

  • モーニングレポート:7時半から前日入院症例のいくつかをピックアップしての症例検討
  • 各科カンファレンス:モーニングレポート後の8時過ぎから、月曜日は腎臓内科、木曜日は膠原病内科/感染症内科、火水金曜日は循環器内科

さて、少しその中を覗いてみましょう。

モーニングレポート

今朝の症例は、高齢女性の慢性心不全の増悪での入院でした。慢性経過での体うっ血の進行、肺うっ血症状も来たし緊急入院。

レジデントが発表し、総合内科フェローの司会のもと、カンファが進行していきます。

司会
いつも通り、心不全の3つの軸から考えていきましょう。基礎心疾患、増悪因子、病態ですね。今回はどういった状態だったのでしょう。
レジデント
この方の心機能はEF 45%程度で、左室の肥大が目立っています。もともと高血圧もあるので高血圧性の心筋症かもしれません。増悪因子は・・怠薬や塩分過多はなさそうです。急性冠症候群(ACS)も否定的です。むくみは目立ちますが循環不全の兆候は認めず、wet and warmの状態と考えています。
司会
心不全の増悪因子には、有名なゴロがありますね。確認してみましょう。
レジデント
ASPIRATE*です。この患者さんでは・・・

*ASPIRATE:Anemia, Sepsis, Pulmonary Embolism, Ischemia, Renal, Arrythmia/adherence, Thyroid, Excess of work/salt

ここで、部長の平岡先生から次々とクリニカルパールが飛び出します。

平岡先生
塩分過多は無いっていうけどね、患者さんが自分で考える塩分量っていうのは実際と全然違うことがあるから注意せなあかんね。塩分量6g/日に気をつけています、とおっしゃる患者さんに、実際の食事内容を書き出してもらうと20gくらいあったこともあるからね。あとはこの患者さんのエコー所見やけどね、左室は肥大してるけど腔は小さくて、左房や右心系も拡大してるでしょ。こういう心臓を見たときはアミロイドーシスも鑑別やね。あとはこういう心臓を見たときの鑑別は拘束型心筋症、僧帽弁狭窄症、収縮性心膜炎、心房中隔欠損症とかやね。それから・・・

とめどなくクリニカルパールが溢れ、参加しているレジデントはみなそれを必死にメモします。

症例提示が進み、心電図が供覧されます。

平岡先生
この心電図やけどね、すっごい面白い心電図やね。このP波とこのP波の形は少し違うよね。せやからこれは・・・

参加しているレジデントが心電図の周りに集まり、平岡先生が心電図を熱く解説します。

そして説明を終えた平岡先生からレジデントへ

平岡先生
心電図面白いでしょ。皆さんね、グラム染色に燃えるのも素晴らしいことやけどね、是非心電図にも燃えてください。

この後も症例共有が進み、心不全急性期のマネジメント、基礎疾患の評価のための検査、退院後のプランなどについて議論が進みます。

総合内科で力を入れているのは、入院中の急性期のマネジメントについてだけではありません。患者さんの抱える疾患の予後、見込みを考慮しながら、患者さんの価値観、生きがいを大切にしてケアの方針を決めていきます。つまりはアドバンス・ケア・プランニングです。

平岡先生
あとこの患者さんのCode*のことやけどね、蘇生行為や気管挿管など侵襲的な処置はしないが輸血はする、ということになってるね。これが患者さんの考えや価値観を反映したものになってるかどうか確認が必要やね。患者さんが人生で大事にしてることは何なのか、負いたく無い負担は何なのか、今の病状で今後予想されることは何なのか、そういったことの共有が必要やね。

*Code:患者さんの心肺停止時、急変時などにどこまでの治療を行うかについての取り決め

その後、担当チームの医師と患者さん、ご家族で話し合いを行い、アドバンス・ケア・プランニングが導入されました。総合内科では倫理カンファレンスも活発に行われており、倫理的に方針決定に迷う場合には平岡部長が直接患者さんのもとに行って一緒に診療してくださることもしばしばあります。

以上、総合内科の一日の始まりの紹介でした。他にも曜日毎に腎臓内科カンファレンスや膠原病、感染症科カンファレンスなど、学ぶ機会が盛りだくさんです。総合内科は毎日の学びを積み重ねることで、いつか大きな成長に繋がるプログラムになっています。興味を持たれた方は是非、見学にお越しください!

◆ 東京ベイ・浦安市川医療センター 総合内科

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