外来振り返りシステムについて〜ジェネラリズムは当たり前、さらに高みを目指して〜

我々総合内科で働く医師は、ホスピタリストつまり病院総合医として、入院患者さんの内科管理のみならず外来診療の役割も担っております。当院では、入院患者さんの管理のみならず外来診療も大切と考えて診療および教育にあたっており、今回は外来振り返りのシステムについてお話ししたいと思います。

当院総合内科外来の役割

総合内科では、後期研修医1年目から総合内科外来を担当します。基本的には週1回、決まった曜日に自分の外来枠を持ち、午前中は新患の症例、午後は再診の症例を受け持っております。総合内科という看板を掲げており、経験する症例は非常に多彩です。

カバーする疾患の範囲は広く、発熱や咳嗽といったよく見る症例や健診異常はもちろん、他院からの診断困難でご紹介いただく症例にも対応します。再診枠では、外来診療のみを実施している患者さんの他、自分が入院中に受け持った患者さんの退院後のフォローをします。ただ薬を出すだけではなく、その患者さんの家庭環境、人生観にまで配慮し全人的な視点で診療にあたり、疾病予防やワクチン、生活習慣についても患者教育を行うように心がけております。

高齢社会になったことで、様々な病気を抱える患者さんの割合は増え、複数の疾患が複雑に絡み合う課題に対応できる病院総合医のニーズは、近年ますます増加しております。複数の科を受診するのは患者さんにとって多大な労力と時間がかかる上に、薬の重複などのデメリットが生じることがあります。最近ではポリファーマシーと呼ばれる高齢者が沢山の薬を処方されている状況が社会的問題として注目されております。それらの疾患をまとめて総合内科外来にて我々が管理することによって、患者さんの負担が減り、過不足ない医療を提供することができると自負しております。もちろん、より専門的な管理を要する場合には、専門科と協議した上で、ともに治療を進めていきます。

より質の高い、総合的外来診療を目指して

現在の日本の医学教育において、外来診療のトレーニングを受ける機会は少ないと言わざるを得ません。上級医の診療スタイルを見よう見まねで、手探りで、自らの診療スタイルを確立している医師が多いのが現状ではないでしょうか。しかし、初学者のうちは、何事も上級者から体系的に教わることが必要であり、当院は外来振り返りシステムを採用しております。

その日の外来が終了した夕方に、一通り全部の症例を上級医に1例ずつ相談し、今後の治療方針や検査の進め方について話し合いをします。患者さんごとの個別の対応方法の検討だけでなく、時に疾患の一般論にまで立ち返り、次回以降に活かせるような学びを得られます。以下に私が経験した記憶に残る外来症例をいくつかお示しします。

症例1)数ヶ月前からの動悸、息切れを訴えて受診された患者さん(80代、男性)
⇒心電図検査で心房細動が判明したため、症状の主な原因は心房細動と判断、心精査・治療の方針。
⇒上級医との振り返りを通じて、他に症状の原因となる疾患の精査を検討。
⇒喫煙歴もあったため呼吸機能検査も施行し、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の合併も認めた他、貧血も有していたので年齢も考慮し大腸癌スクリーニング目的に大腸カメラを受けていただいたところ大腸ポリープの合併も判明し、それら全ての合併症を総合内科外来にて包括的にマネジメントしていく方針。

症例2)最近疲れがとれない、仕事がつらいという訴えで受診された患者さん(40代、男性)
⇒前医よりうつ病の可能性を指摘され、その他の原因がないか精査目的に当院紹介。
⇒上級医との振り返りで、「数ヶ月来の倦怠感」という枠組みで精査(身体所見、血清学的検査、画像検査)。
⇒内分泌疾患、感染症、悪性腫瘍などの鑑別疾患が挙がったが、最終的に副腎不全と診断され入院加療、軽快退院となった。

平岡内科部長を筆頭とした第一線で活動される経験豊富な上級医に1対1で相談し、直接フィードバックを受けられる贅沢な教育環境が整っております。このシステムのおかげで、若手医師でも適切なマネジメントを行うことができ、個々の患者さんに対して質の高い医療を提供することができます。多くの症例を経験し、多様な疾患に触れることで、間違いなく外来診察能力は向上するでしょう。若手医師にとって理想的な卒後トレーニング環境が用意されています。

当院の総合内科での研修では病棟管理はもちろんのこと、一流の外来診療技術も学べます。外来初診から入院治療そして退院後のフォローアップまで、一貫した流れでの当院総合内科研修を通じて皆さんの臨床スキルを磨いて下さい。熱い志をもった若手医師の皆さんと一緒に働けることを楽しみにしております。

文責:高見澤 重賢

◆ 東京ベイ・浦安市川医療センター 総合内科

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