こんにちは、東京ベイ総合内科卒業生の吉岡翼です。
今回は、当センター総合内科研修の特色の1つ、“地域研修”について紹介させて頂きます。総合内科の研修カリキュラムには、年間3ヶ月の“地域研修”のタームが含まれています。JADECOM(地域医療振興協会)の関連病院として、静岡県の伊東市民病院、三重県の志摩病院、群馬県の西吾妻福祉病院、長崎県の大村市民病院の中から選択することができ、交渉次第ではその他の地域でも研修は可能です(2018年時点)。“地域研修”は当センター総合内科後期研修プログラムの大きな魅力の一つですが、その特色について今回は紹介できたらと思います。
規模の違い 〜それぞれの病院の役割を通じて〜
都市部の急性期病院である東京ベイ・浦安市川医療センター(以下ベイ)と違って、地域研修で赴く病院は地域の中核病院であり、慢性期病院としての役割も果たしています。ある程度急性期疾患が落ち着けば退院ないし転院調整に入ることが多いベイの総合内科研修と違って、志摩病院や大村市民病院では地域包括ケア病棟で患者さんが本当に安心して自宅に帰るまでのサポート・ケアに関わることが出来ます。加えて、日々の振り返りや専門医とのディスカッション、カンファレンスを通して方針決定をしていく事が多いベイでの研修と比べると、地域研修においては、ある程度自分で診療方針の決定を重ねていくことが必要です。東京ベイで培った知識や診断能力を、地域のリソースに当てはめて展開していく中で、自分の成長ぶりや、逆に足りない部分を実感することが出来ます。
地域の違い 〜都会では出会えない!?あんな疾患、こんな疾患〜
一つの病院で働いていると、疾患の地域性ということに関してあまり意識することがないですが、例えば、当センターではアルコール関連の急性/慢性疾患を多く経験します。一方、志摩病院で研修して驚いたのは、ダニ咬傷による日本紅斑熱の症例数が非常に多いことでした。特徴的な皮疹などのプレゼンテーションを実際に体験出来るのは大きな財産になりますし、地元の医師からダニの噛み跡の探し方についてレクチャーを受けたのは良い思い出です。その他、草津温泉に近い西吾妻福祉病院ではいわゆる温泉水誤嚥の症例、伊東市民病院ではダイビングに伴う浸水性肺水腫の症例など、”その地域ならではの疾患”に出会えるのも、地域研修の魅力の一つです。
お嫁サンバ!地域で見つけた、新しい出会い
年間3ヶ月の地域研修ですが、その後の進路にも大きく関わってきます。例えば、総合内科での3年の研修の後の進路として、地域研修での経験・人脈を生かして就職先を見つける人もいます。そして、地域という特殊な状況で生涯の伴侶を見つける面々も少なからずいます。決してそれを目的にして地域研修に行っているわけではありませんよ!

群馬県の西吾妻福祉病院
年間を通じて上記の病院には東京ベイからの派遣医師が駐在しており、見学に来ていただければお会い出来るかもしれません。是非とも見学申し込みをご検討ください。
文責:総合内科 吉岡 翼