大腸ポリープが見つかったんですが…〜EMR・コールドポリペクトミーを使用したポリープ切除〜

大腸ポリープって?~そもそも悪いものなの?~

大腸ポリープとは簡単にいうと大腸に出来た突起物を意味する言葉です。腺腫(せんしゅ)と言われる良性のものが多いですが、癌のような悪性のものまで全てひっくるめて大腸ポリープと言われます。

大腸ポリープを探す方法として下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)があります。大腸カメラは1cmくらいの太さで、先端にカメラがついています。それを肛門から挿入し小腸との境目までカメラを進めていき、その後少しずつ抜いていきながら大腸や直腸を詳しく観察していきます。

大腸カメラでの詳しい観察に欠かせないことは腸をきれいにすることです。そのため当センターでは検査当日に約1~2リットルほどの大腸の洗浄液を飲んで頂いて腸をきれいにして検査を行っています。詳しい流れが気になる方は消化器内科の12月のweb通信「スムーズに大腸カメラを受けるために~検査前の準備が大切~」をご覧ください。大腸カメラでポリープが発見されたら、色素をかけたり、カメラの倍率を拡大したりしてポリープの粘膜をよく観察して、それが放置してよいもの(非腫瘍性)か、治療する必要があるものかを確認します。

治療が必要と判断された場合は、次にそのポリープが良性の腺腫か、がんを含む病変かを見極めます。内視鏡でよく観察することである程度の鑑別はできますが、原則的にはポリープを切除して、その組織を顕微鏡で確認する(病理組織検査)ことで最終的な診断が行われます。内視鏡での切除ではなく、追加の検査や外科手術が必要と判断することもまれにあります。

大腸ポリープの切除~どんなやり方があるの?~

内視鏡でポリープ切除にはいくつかの種類がありますが、今回は代表的な「コールドポリペクトミー」と「内視鏡的粘膜切除術(EMR)」について紹介します。
コールドポリペクトミー(Cold snare polypectomy)はポリープの茎にスネアという金属性の輪をかけて、輪を絞ることでポリープを切り取る方法です。主に出血の危険性の低く、小さいポリープに対して行われます。

スネア(わっかのようなもの)でポリープを切除するところ <実際の写真>

大きいポリープに対してはEMR(内視鏡的粘膜切除術:Endoscopic mucosal resection)を行います。EMRは粘膜の下に薬液を注入し、病変を持ち上げ、スネアをかけ、そこに高周波電流を流して焼き切ります。

生理食塩水をポリープの下に打ち込む <実際の写真>

スネアで縛り、電気を流して切除 <実際の写真>

EMRでも取り切れないようなサイズが大きい病変に関してはESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)という方法を行うこともあります。
当センターでの治療実績は、ポリープ切除は年間およそ500件、大腸のESDおよそ70件となっております。

大腸ポリープの切除にはどのくらいの日数がかかるの?

小さなポリープに対しては日帰り手術を行っています(ただし切除に伴って血が多く出たときなどはそのまま入院が必要となることがあります)。出血の危険性が高い場合(血液をサラサラにする抗血小板薬や抗凝固薬を飲んでいる方)や病変が大きい場合は入院を初めからお勧めする場合もありますので、ご不明な点がありましたら、消化器内科担当医にお尋ね下さい。

文責:瀬川 翔

◇参考
日本消化器病学会ガイドライン 患者さんとご家族のためのガイド「大腸ポリープ」

◆ 東京ベイ・浦安市川医療センター 消化器内科

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