がん検診、受けないとどうなる?〜消化器がん発見時のステージと5年相対生存率〜

まずはじめに

人間ドック?がん検診?胃カメラ・大腸カメラをなんで受けなければいけないの?
「苦手」「怖い」「誰が好き好んで受けるの?」そんな声を聞くことがあります。

胃がん、大腸がんは日本の罹患数の1位、2位を占めており、死亡数も2位、3位と上位を占める疾患です。がん検診はそれらを早期発見、早期治療することで国民の寿命を伸ばすことを目標に、定期的な検査を行っていこうという制度です。しかし、実際に検診を受けられている割合は十分とは言えず、経時的に上昇はしているものの未だ検診受診率が50%弱にとどまっているというのが現状です。
このページでは、検診をまだ受けていない方に対して検診の必要性や皆様の疑問に答えていこうと考えます。

Q:なぜ定期的にカメラ(消化管内視鏡検査)を受けた方が良いのか
A:早期段階で見つければ、仮にがんが見つかっても根治できる可能性が上がるから

国立研究開発法人国立がん研究センター2020.3.17更新より作表

がん検診の内視鏡検査を行う最大の目的はがんを早期に発見することです。表の通り、がんは早く見つければ早く見つけるほど根治できる確率が上がり、StageⅠで発見すれば食道がんの5年生存率は90%近く、胃がん、大腸がんに関しては90%後半となります。数十年ぶりの、または人生初めてのカメラで進行がんが「見つかる」のではなく、定期的なスクリーニングで早期がんを「見つける」のが大切なのです。

Q:症状がないから受けなくても良い?
A:がんであっても初期段階では症状が出ないことのほうが多い

「自覚症状はないから自分は大丈夫」と考えている方もいらっしゃると思いますが、がんは進行がんになるまでなかなか症状が出ません。体重が減ってきてから、毎日血便が出るようになってから、お腹が痛くなってから見つかるがんはすでにステージが進んでいるものが多いのです。がん検診は「自覚症状がない」早期のがんを早く発見し治療につなげることを目的とします。

Q:いつ・誰が受けるのか
A:胃がん検診は50歳以上またはピロリ菌除菌歴のある人が胃カメラを1,2年毎に。大腸がん検診は便潜血検査を毎年。便潜血で引っかかれば大腸カメラ。

胃がん検診として50歳以上の方に2年に1度胃カメラまたはX線検査を推奨されています。X線検査は胃カメラと比較し簡便であるというメリットがありますが、胃カメラでは胃の中を直接観察できるため細かい病変を見つけることができ、必要に応じて組織を採取することができるという点で診断に勝ります。また、ピロリ菌感染歴のある胃は慢性的な炎症によりピロリ菌未感染の胃と比較し新規に胃がんが発生するリスクが比較的に高くなっています。当院では50歳以上の方は2年毎に、ピロリ菌感染歴のある方は1年毎に胃カメラでの検査を推奨しています。

大腸がん検診では、40歳以上の方に年1回の便潜血検査が推奨されています。その検査で2回のうち1回でも陽性となれば大腸カメラを受けていただくことを推奨しています。また、当院ではポリープが指摘された患者さんには2,3年後の内視鏡フォローを行っています。「便潜血が陽性である=がんがある」というわけではなく、多くは痔核出血や硬便に伴う一過性のものが多いため過度に心配する必要はありません。しかし、大部分が問題ない中で稀に潜むがんを見つけるために皆さんに検査を受けていただくのが大切です。

Q:受けたくない…
A:当院では検診を受けるサポートをしています!

検査は受けなければいけないとわかっているが受けたくないという方も多いと思います。全国統計でも様々な理由が挙げられており、どれも個人的に共感できるものばかりです。とはいえ、やはり自分の健康のため、一緒に生活している周りの人たちのためにもしっかり検診を受けていただく必要があります。当院ではそのような皆様を可能な限りお手伝いできるように様々な取り組みを行っています。

「受けたくない理由」に対する当院でのサポート体制
  • 時間がない:胃カメラ・大腸カメラとも日帰り検査が可能。主治医と相談し同日結果説明も可能。胃カメラに関してはオンライン予約も導入済。
  • 健康状態に自信がある:がんは症状が出る前の段階で見つけて治療するのが理想的。
  • 検査が怖い、不安がある:当院での患者さんの苦痛を減らす工夫:負担の少ない細径スコープの胃カメラを導入、大腸カメラでは全例に鎮痛薬を使用、検査後の腹満感を軽減するCO2ガスを使用。不安が強い方は検査中にぐっすり寝ていただけるように鎮静薬が使用可能。過去記事「もう怖くない胃カメラ~鎮静薬を適切に使って、安心快適に受けてもらえる内視鏡検査~」参照
  • 経済的に負担:がんはステージが進行するに連れてより多くの検査、より費用のかかる治療や長期間の入院・通院が必要となる傾向がある。検診で早期に発見し治療したほうが総合的に金銭的負担は減る。
  • がん検診そのものを知らない:消化器内科だけでなく総合内科外来でも当院に定期通院して頂いている患者さんにはヘルスメンテナンス(健康管理)の一環として胃カメラや大腸カメラを提案している。気軽に受診していただき相談も可能。

Q:withコロナでのがん検診
A:延期しない。普段どおり受けるのがベスト。

コロナが怖い。病院に行くのが怖い。外出するのが怖い。2020年はコロナが人々を不安と恐怖に陥れ、がん検診率は例年の30%減となっていました。2021年はワクチンの開発や皆様のSocial distanceの努力がみのりコロナ患者数も減ってきており、がん検診率は戻ってきましたが、それでも例年と比較すると17%減でした。

とある研究では便潜血陽性を指摘されてから3ヶ月以内に大腸カメラを受ける群と比較し、それ以降に大腸カメラを受ける群では大腸がんと診断される割合と死亡率が上昇するという結果も出ています。コロナを心配するあまりがんの診断が遅れてしまっては本末転倒です。当院でもコロナ対策はしっかりしており、検査のタイミングは主治医と気軽に相談してください。

まとめると

  • がんは早期発見で根治できる確率が上がる
  • 症状がなくても検診を受けることが大切
  • 当院ではがん検診を受けやすくするサポートを行っている
  • 質問があればいつでも気軽にお近くの消化器内科医に相談してください

参考文献

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