みなさんこんにちは。今月の消化器内科web通信では、超音波内視鏡(EUS:Endoscopic Ultrasonography)についてご紹介します。
EUSって?
EUSは、CTやMRIや通常の内視鏡検査の情報を補填する役目を担っています。先端に超音波装置がついた特殊な内視鏡で検査を行います。おなかの中から超音波を出すので、CTやMRI検査で見るよりも、病変に近寄って詳しく調べられます。普段の内視鏡で見える胃や腸の表面の粘膜のさらに奥の構造や、その近くの膵臓や胆嚢の構造をみることができます。EUS専用の機械の場合、胃カメラのように口からカメラを飲み込んで検査をします。時間は1時間程度ですが、鎮静剤を使うため、ほとんど苦痛を感じずに検査ができます。
また、当センターでは、EUS専用の内視鏡だけでなく、通常の内視鏡の先端から超音波を出せる‘ミニチュアEUS’という機械も扱っています。ミニチュアEUSを使うことによって、胃や腸の1cm程度の小さな病変も詳しく調べられます。


▲EUSでは先端のバルーンを使って超音波で臓器を観察します
どんな病気が調べられるの?
EUS専用の内視鏡では、主に膵臓や胆嚢、胆管の病気を調べます。膵臓癌や胆嚢癌、胆管癌を疑った場合、EUSで癌の形や進み具合を確認します。膵臓に嚢胞があったり、胆嚢や胆管が腫れている場合にも、EUSで内部の構造を確認して原因を調べたり、早期の癌のサインに気づくことができます。また、ミニチュアEUSでは、粘膜下腫瘍という、ふつうの粘膜の下にできものがある場合にも有効です。そのできものの粘膜からの距離や、できものの性状を確認して原因を推測します。他にも、胃や大腸の早期癌の場合、ミニチュアEUSを使って癌が内視鏡で治療できる深さに留まっているかどうか調べます。
どんなことができるの?
EUSのすごいところは、超音波が出せることだけではありません。EUSは、病変を観察するだけではなく、そのまま特殊な生検や治療を行うことができます。いつもの内視鏡では生検できない、胃や腸の粘膜の奥の病変や、膵臓や胆管のできものも、内視鏡の先端から針を出すことで針生検をして確実な診断をつけることができます。さらに、EUSの先端から針を出して、お腹の中に溜まった膿や水たまりの嚢胞を、針先から吸い取ったり、逆に薬を注入することもできます。超音波を出しながら針を出すので、周りの血管を避けて安全に治療を行えます。
当センターでは、EUSを使った検査や治療を年間200件以上行っています。健康診断や外来主治医の先生からEUSをおすすめされたら、是非消化器内科外来にご相談ください。
