MEの秘密道具、カプノグラフ付パルスオキシメータ登場!

こんにちは、臨床工学技士の藤田です。
今回は内視鏡室で使用しているカプノグラフ付パルスオキシメータについて説明したいと思います。

苦痛のない検査…そのメリット・デメリット

近年、内視鏡検査の際、患者さんの不安や苦痛の軽減するために鎮静剤を使用することが多くなってきております。内視鏡における鎮静は、①嘔吐反射が強い場合、②患者が鎮静を希望する場合、③開腹手術などによる腸管癒着などで、特に疼痛が強い場合、④精密検査のため時間を要することのある特殊検査EUS(超音波内視鏡検査)、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)、ERCP(内視鏡的逆行性膵胆管造影)などの場合に行われます。

苦痛を伴わずに検査を施行できるという意味で、鎮静剤はとても便利なものですが、すべての鎮静剤は呼吸および循環動態に影響を与えます。鎮静剤使用時には呼吸抑制(呼吸数の減少、チアノーゼ出現、呼吸停止、いびき、胸郭の動き、酸素飽和度の低下)や循環抑制(血圧低下、徐脈、不整脈)などを観察する必要があります。

鎮静剤使用時には、心電図モニタの装着、自動血圧計、パルスオキシメータを装着し、検査中の患者の顔色や吸数などを注意深く観察します。特に鎮静をしっかりと行うEUS、ESD、ERCPなどでは使用量が多くなりがちです。
当センターではEUS、ESD、ERCPで呼吸状態をリアルタイムでモニタリングするカプノグラフ付パルスオキシメータを使用しています。

カプノグラフ付パルスオキシメータはEtCO2(終末呼気炭酸ガス濃度)を測定します。この方法はカプノグラフィーとも呼ばれ、患者さんの呼気を直接モニタリングします。呼気ガスの二酸化炭素濃度を赤外線吸収方式にて測定することによりCO2濃度を測定します。また、EtCO2の測定は一呼吸ごとの測定であるため、呼吸が停止すれば即座にモニタに反映されます。呼吸回数を直接測定し、換気に重要な指標であるCO2が測定可能です。

呼吸状態の把握と対応

呼吸抑制や低酸素血症になった場合には、まず、誤嚥や気道閉塞の有無や、胸郭や腹部の動きを確認します。呼吸状態が悪い場合には、舌根沈下や体位による影響も考えられるため、呼吸しやすい体位への変換が必要です。呼吸数が少なければ、患者さんに深呼吸を促します。通常、これらの対処で低酸素状態は改善しますが、もし改善しない場合は、速やかに酸素を投与します。なお、酸素投与でも低酸素血症が改善しない場合は、拮抗剤であるフルマゼニル(アネキセート)やナロキソン塩酸塩などを投与する場合があります。

循環動態の把握と対応

鎮静剤は循環動態へも影響を及ぼし、血圧低下をきたすことがあります。しかし血圧低下が神経反射による循環虚脱の場合には、深呼吸や酸素投与により改善することがあります。これらの効果がない場合は、輸液や薬剤投与を開始します。
内視鏡検査の施行後も、呼吸抑制による低酸素血症、低血圧、不整脈、誤嚥、覚醒遅延による転倒などが起こりやすいので注意が必要です。鎮静剤を使用する場合には、覚醒に時間がかかるため検査後1時間程度の安静が必要な場合です。外来患者さんの鎮静剤使用の場合は、自動車の運転などは危険が伴うため、公共交通機関の案内や家族の付き添いを勧めるようにしています。

◆ 東京ベイ・浦安市川医療センター 消化器内科

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