大動脈弁狭窄症と弁膜症って同じ病気ですか?
祖父が82歳なのですが、大動脈弁狭窄症といわれました。インターネットで調べると弁膜症と同じような感じで書いてありましたが、どうでしょうか?
[回答]
大動脈弁狭窄症は弁膜症の一種ですが、全てではありません。そもそも、弁膜症ってなんでしょう?そして大動脈弁ってなんでしょう?少しさかのぼって説明しますね。
心臓は筋肉でできた袋のようなカタチをしています。この袋が膨らんだり縮んだりしながら、血液を全身から集め、再び全身に送り出しています。体を動かす燃料が血液だとしたら、心臓は燃料を巡らせるポンプの働きをしているわけです。
このポンプを効率よく働かせるために心臓には大きく言えば四つの部屋があります。右側の右心房と右心室、左側の左心房と左心室です。右側は全身から血液を集めて肺に送ります。左側は肺から血液を集めて全身に送り出します。そして弁とは、それぞれの部屋の入り口と出口についた逆流防止弁のことです。ここがポイントなんですが、もし弁がなければ、血液は部屋から出たり入ったりして、なかなか次の臓器にはとどきません。弁があるから次の部屋、次の臓器に血液は向かうことができるんです。そして、この弁が開きにくくなると狭窄症、閉まりにくくなると逆流症(または閉鎖不全症)といいます。これが弁膜症です。
弁の名前をもう少し詳しく説明します。右心室の入り口と出口に三尖弁と肺動脈弁、左心室の入り口と出口に僧帽弁と大動脈弁があります。やっと出てきましたね。大動脈弁とは左心室の出口にある逆流防止弁のことなんです。左心室の出口、それは大動脈につながっているので、これを大動脈弁と呼びます。そして、大動脈弁が開きにくくなる病気が大動脈弁狭窄です。