健康診断で血圧が高いといわれました。すぐにお薬を飲まないといけませんか。
また、血圧がどのくらい高ければ お薬を飲む必要がありますか?
[回答]
血圧が高いと指摘されたんですね。とても心配だと思います。血圧が高い状態が続くと心臓や血管に負担がかかってしまいます。高血圧を治療する目的は、血圧自体を下げることではなくて、将来の心臓や血管の病気を防ぐことです。また高血圧と同時に、すでに糖尿病や脂質異常症、肥満など心血管病の多くのリスクをもっている人は、治療を受ければより大きな効果が得られます。もちろん軽症の人だってすぐに治療を始めれば内服せずに血圧を下げることもできるし、その後も適正な血圧を維持することだって、十分可能です。高血圧になったり、それが進行したりするときには、もともとの遺伝的な要因とともに生活環境が関係しているといわれています。そのため治療としては内服薬を服用するだけではなく、生活習慣の改善も非常に大事です。実際に生活習慣を改善することで、血圧が下がることも実証されています。生活習慣の改善というと具体的には「過度な塩分摂取を控える」「適正体重を維持する」「適度な運動を行う」「禁煙」「過度な脂質(コレステロールなど)の摂取を控える」などが知られています。具体的な治療方針については、血圧がどの程度高いのか、また高血圧以外に糖尿病や脂質異常症といった心血管病のリスクがどのくらいあるかによって違ってきます。血圧が高いからといってすぐに薬を飲まなくてはいけないというわけではないんです。たとえば低リスク群の場合は、生活習慣改善を治療の中心とするけれども、生活の改善を3か月続けても血圧が140/90mmHg未満に下がらない場合には、内服薬による治療が検討されます。中等度リスク群も、まず生活習慣の改善から取り組みますが、低リスク群より早く、1か月後に140/90mmHg未満に下がらない場合には、内服治療を検討していきます。高リスク群と重症血圧患者さん(180/110mmHg以上)の場合は、高い血圧のまま放置すると危険なため、はじめから生活習慣の改善と内服療法を開始します。このように内服をはじめても生活習慣の改善をしなくていいということではありません。血圧の管理には内服治療も大事ですが、生活習慣の改善もとても重要なんです。またご不明なことがあればいつでも相談してくださいね。