こんにちは!東京ベイ・浦安市川医療センター救急外来部門です。
今回は蕁麻疹・アナフィラキシーについてお答えします。
蕁麻疹はかゆみを伴い、赤く皮膚の色が変化するアレルギー反応の一つです。特定の物質(食べ物や薬物、虫刺されなど)が原因になることがありますが、原因となる物質がわからない場合も多々あります。通常であれば24時間程度で症状は改善するといわれています。
一方でアナフィラキシーは、強いアレルギー反応が全身に出る病気で、特定の物質が原因となります。蕁麻疹のような皮膚のかゆみにとどまらず、呼吸が苦しくなったり、血圧が下がってふらついたりなど全身に重症な症状が広がります。治療が遅れることで命を落としてしまうこともあります。
<アナフィラキシーを疑って受診すべき症状、状況>
体が赤く、かゆみを伴う症状に加えて
- 口やまぶたが腫れる
- 息が苦しいとき
- ふらふらしてしまう時
- 嘔吐やお腹が痛い、下痢をしてしまう時
- のどに違和感がある時
上にかかれた症状がある場合にはアナフィラキシーを発症した危険を考慮し救急車を呼んだ方がいいでしょう。
アナフィラキシーの原因は食べ物や抗生物質(抗菌薬)や痛み止め(特にロキソプロフェンなどに代表されるNSAIDs)や検査時の造影剤といった薬はもちろん、ハチなどの虫に刺されたり植物に触れたりすることでも起こりえます。特に食べ物ではピーナッツや卵、貝類や甲殻類(カニやエビなど)や魚類、牛乳、果実、小麦などです。特定の原因物質(アレルゲン)がわかることもあれば原因がわからないこともあります。
通常は上に挙げたアレルゲンや、その他のアレルゲンを食べたり、接触した直後に症状がでる場合がありますが、運動や入浴などの刺激でアナフィラキシーが誘発される場合もあります。
医師がアナフィラキシーと判断した場合、アドレナリンという薬を大腿(太もも)の筋肉に注射して治療します。症状の改善がなければくり返し投与を行います。症状によっては追加で点滴注射をしたり、吸入薬での治療をする場合があります。

また、アナフィラキシー症状が一旦治まっても、時間が経ってから再度アナフィラキシー症状が現れる場合があります。これは「二相性反応」と呼ばれます。数時間以内が多いですが場合によっては1-2日経過してから再び出現することがあります。このような症状がないかを確認するために医師の判断で入院もしくは救急外来で様子をみることがあります。
治療が終わってからは、アナフィラキシーの原因となったアレルゲンを調べるために、外来でアレルギー検査を行い、避けるべきアレルゲンを明らかにする必要があります。しかし、生活の中で「アレルゲンが避けられない/意図せず接触してしまう状況」が出てくる可能性もあります。
そういった時に自分の身をアナフィラキシー反応から守るため、「エピペン」という誰でもアドレナリンの注射ができる薬を処方し、携帯することが重要です。自分で打つことができない小さなお子様に関しては、ご家族はもちろん、学校の先生や保育士が打てるように、エピペンのホームページからガイドブックがダウンロードできるようになっています。

エピペンの処方は講習を受けた医師しか出来ませんが、当院救急外来部門の医師は基本的に全員受講しており、24時間365日いつでも対応できます。アナフィラキシーかもしれないと思った時はいつでも相談下さい。

参考文献
UpToDate Patient education: Anaphylaxis
アナフィラキシーガイドライン2022
エピペンサイト:https://www.epipen.jp
写真引用:https://www.photo-ac.com/