こんにちは!東京ベイ・浦安市川医療センター救急外来部門です。今回はもしかしたら皆さん聞いたことのあるかもしれない、尿管結石という病気についてお話ししたいと思います。
まず人間の体の中で尿がどのように排泄されるかというと、腎臓という場所で体の中の不要なものが濾過され尿が作られ、その尿が尿管という管を通って膀胱に溜められ最終的に排尿されるという仕組みです。尿管結石とは、腎臓でできた石が尿管に詰まってしまう病気です。

引用:日本泌尿器科学会(https://www.urol.or.jp/public/symptom/06.html)
症状としては、左右どちらかの突然の腰背部痛の強い痛みや吐き気・嘔吐になります。ときには血尿が見られることもあります。
・どうして起こるの?
遺伝的な疾患が原因の場合や、薬剤が原因の場合もありますが多くは食習慣と言われています。尿管結石には様々な種類があり、主な種類はシュウ酸カルシウム、リン酸カルシウム、尿酸などがあります。尿中でこのような成分が多くなると腎臓で結石が作られ、それが膀胱へ移動する間で尿管に詰まって痛みを生じます。
・どうやって診断するの?治療法は?
救急外来で尿管結石を疑ったら超音波検査をすることが多いです。超音波検査で特徴的な所見が見られた場合、初発の場合はC T検査を行い結石の位置や大きさを確認します。結石の大きさや位置によって治療が少し異なるからです。補助的に、尿検査を行い、血が混じっていないか確認することがあります。
治療法は基本的には痛み止めで痛みが治まるのを待ちます。結石は小さければ自然に尿と一緒に排泄されるため、膀胱まで石が移動するのを待つことになります。その際、水分をたくさん摂取することで尿が作成され、尿管から石が押し出されて除去されることで早く痛みが消失すると言われています。
尿管結石の大きさや位置によっては自然に石が排出されない場合があります。その時には泌尿器科に紹介する場合があります。治療については様々ですが、追加での薬が必要になったり、場合によっては特殊な治療が必要になったりすることもあります。
また、発熱や寒くてブルブル震えるといった症状を伴う場合、尿路感染を合併している可能性があります。これを「結石性腎盂腎炎」といいますが、重症になる可能性が高いと言われており、入院の上で専門家により結石を取り除く治療が必要となりますので注意が必要です。

・どのような時に受診するの?
一度尿管結石を起こしたことがありその痛みと全く同じという場合は痛み止めで様子を見ていても良いと思います。しかし、尿管結石だと思っていたら別の病気(血管が破れる病気や骨折など)の場合もあると思いますので、痛みが強く不安な場合はお近くの病院を受診してみたほうがいいかもしれません。
・予防法はある?
水分摂取量を増やすことと、果物や野菜を多く摂取することを心がけることということになると思います。動物性のタンパク質を食べすぎると結石ができやすくなると言われているため注意しましょう。シュウ酸を多く含む食べ物としてはほうれん草やじゃがいも・ナッツ類などが挙げられます。過剰に食べないように気をつけて頂ければ極端な制限は必要ありません。

東京ベイの救急外来部門は24時間365日診察、相談を受け付けていますので何かあれば気軽に相談、受診いただければと思います。
参考文献:
UP TO DATE:Kidney stones in adults(2023/1/8参照)