こんにちは!東京ベイ・浦安市川医療センター救急外来部門です。
今回は皆さん聞いたことのある、そしてもしかしたら病院で言われたことのある「急性胃腸炎」という病気について、皆さんの疑問に少しでも答えて行きたいと思います。
急性胃腸炎とは食中毒などを含む嘔吐・腹痛・下痢を伴う疾患です。急性胃腸炎の原因としては食中毒だったり、他の人がかかったノロウイルスなどがうつったりと様々あります。
多くの急性胃腸炎は自宅で様子を見ることができる病気ではありますが、中には急性胃腸炎と思いきや別の病気が隠れていたりしています。救急外来ではどのように診療がすすむのか?一緒に見ていきましょう。

病院ではどんな検査をするの?
急性胃腸炎自体に検査は必須ではありません。ただ盲腸(虫垂炎)のように右下腹部痛があるなど急性胃腸炎以外の病気の可能性がある場合や強い脱水が疑われる場合には、血液検査やCT検査を行うことがあります。
急性胃腸炎の治療と気を付けること
多くの場合、症状を抑える薬(痛み止めや吐き気止めなど)を使用しながら、水分をしっかり摂取し、徐々に良くなるのを待つことが治療になります。
口から水分を摂るのと点滴とでは、何となく点滴の方が良さそうなイメージを持たれるかと思いますが、両者で効果はほとんど変わらないと言われており、経口補水液(OS-1®他)などで水分を積極的にとっていただくことをおすすめします。
食事で特に食べてはいけないものはありませんが、調子が優れない間は消化に良いものを心がけると良いでしょう。また、身の回りの方も含めて手洗いやアルコール消毒をより注意して行ってください。

いつ病院に行ったらいい?
水分を口から摂ることができない、酷い腹痛、症状が長引くor時間と共に悪化する、などがあれば、自宅で無理をせず、早めに医療機関を受診しましょう。嘔吐症状が強く飲食できない場合は脱水症をきたしていることも考えられます。
また、一度急性胃腸炎と言われても実は他の病気が隠れている可能性もあります。腹痛がどんどん酷くなる、下腹部や右下腹部に移動してくる(盲腸(虫垂炎)の可能性があります)、高熱が2-3日以上持続する、血便などの症状が見られたら、再度医療機関に相談することをおすすめします。
感染性胃腸炎は春と冬に多いとされています。これからの季節には意識的に手洗い・うがいを心がけ、予防を行っていきましょう。感染予防についてはこちらのサイトも参考にして頂ければと思います。
参考文献
UpToDate:Acute viral gastroenteritis in adults (2022/12/3閲覧)
ブラッシュアップ急性腹症 第2版
研修医のための内科診療ことはじめ 救急・病棟リファレンス
厚生労働省ホームページ – 食中毒
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/index.html
画像引用:https://www.photo-ac.com/