はじめに
こんにちは東京ベイ・浦安市川医療センター 救急集中治療科です。
トイレに行って「便器が真っ赤になった」「お通じが黒い」こんなことがあるとびっくりされると思います。今回はそんなお通じのトラブルについて解説します。
便の変化でどんな病気があるの?
便の色は病気により様々な色に変化しますが、今回は「黒色便」と「鮮血便」、二つの血便について解説致します。
「黒色便」とは見た目通り真っ黒な便です。一般的に食道や胃十二指腸に分類されている上部消化管からの出血が多いとされています。
一方で「鮮血便は真っ赤な血液で小腸や大腸に分類されている下部消化管からの出血、もしくは痔からの出血があげられます。
ただ出血量があまりにも多い場合では上部消化管からの出血でも「鮮血」のように赤くなったり、下部消化管出血であっても時間がたっている場合には「黒色」にみえたりします。

実際にどうしたらいい?
黒色便や鮮血便が出た後に、ふらついて立てない・冷や汗をかいている・顔が真っ青になっている・意識を失ってしまうなどの症状がある場合は大量の出血が起きている可能性があります。このような場合は家族や近くにいる人に助けを求め救急車を呼び、すぐに医療機関を受診してください。
その他腹痛が強かったり、黒色便・鮮血便が続いたりする(繰り返す)場合にも、早めの受診をおすすめします。
受診するにあたって、事前に便をスマートフォンなどで撮影しておくと、医師にも「便の性状」がより正確に伝わり、診療がスムーズになります。またもともと内服している薬によっては治療方針が変わる場合もありますのでお薬手帳も忘れずに持って来てください。

病院ではどうするの?
病院に到着したらまず血圧測定や体温測定、問診を行います。便の変化以外にも腹痛や下痢などの症状から病気を探します。その他にも今まで罹ったことのある病気(胃潰瘍や肝臓の病気など)についての情報や飲んでいる薬(血液をさらさらにする抗血小板薬・抗凝固薬や、ロキソニン®などの痛み止めなど)も病気を見つけるヒントになります。
その後、医師の判断で血便の原因を突き止めるための詳しい検査を行います。採血検査で、貧血の程度や血液の凝固能(出血を止める能力)等を把握し、必要に応じてCT検査などを行います。出血が多く貧血が高度であったり、持続的に出血している状況が疑われたりする場合には緊急で消化管内視鏡で治療を行います。

当院でも消化器内科の医師と連携して必要な検査や治療方針について密に相談しております。
血便をはじめ、お困りの症状や気になることがありましたら、最寄りの医療機関にご相談ください。