こんにちは!東京ベイ・浦安市川医療センター救急外来部門です。
今回は「目にものが入ったけどどうするべき?」という疑問にお答えします!
目の中に異物が入ったという経験は多くの人があると思います。多くは毛、ゴミ・塵・砂などですが、中には目に入ると失明のリスクを伴うような危険なもの(洗剤や金属)もあります。どんなものが危険なのか、万が一の時にはどう対処(初期対応)していけばいいか皆様と一緒に勉強していければと思います。

【目の違和感?ゴロゴロ?ズキズキ?どんな症状が目の異物に気づくきっかけ】
目の中に異物が入ると、「目がゴロゴロとする感じ」や「目の痛み」といった症状が出現します。まつ毛や眉毛が目に入った時と同じような感覚が近いです。何度か瞬きをしているうちに涙とともに異物が流されて症状がなくなることが大抵です。しかし、異物が残っている場合や異物により角膜が傷つくことでゴロゴロする感覚や痛みの症状が続く場合があります。そのような時に病院受診が必要になります。
【受診前にお願いしたいこと/必ず教えてもらいたいこと】
何が入ったとしても必ず良く流水で目を洗ってください。10分から15分程度、水道水で洗い流してください。病院に来る前に自宅内で目を洗うことで、より角膜の障害を減らすことができます。また、コンタクトレンズを装着中の方はコンタクトレンズを外してから来るようにして、変わりの眼鏡を持参してください。診療後は目を安静にするためにコンタクトレンズを外した状態で帰ることが多いですが、その際裸眼の場合だと帰る場合に視界が悪く、歩く際に不自由になったりすることが多いです。
受傷した時の状況や実際に何が入ったのかを教えてください。実際のものを持ってきていただいたり、写真にとっていただいたりすると助かります。洗剤などは成分により重症度が変わってくるため成分内容がわかると診療に役立ちます。また、金属、特に鉄の場合にはサビが眼内に残り、将来的に角膜損傷などをきたす危険性があります。
【病院で何をするの?~救急外来ですること~】
眼の処置は怖い!と思われることも多いと思います。眼異物の際に救急外来でする処置について簡単に紹介させてもらいます。
まずは処置の前に視力検査や光を目に当てて角膜や結膜(いわゆる白目)を観察します。その後に痛み止めの入った点眼薬を使い、目に麻酔をして痛みを一時的にとります。その上で目に特殊な染色をした上で詳細に目の様子を観察し、固形の異物の場合には綿棒やピンセットなどを用いて直接とります。洗剤などの液体が目に入った場合には生理食塩水などで大量に目を洗います。
翌日に症状を継続的に見てもらったりするため近くの眼科の病院を受診するように指導をした上でご帰宅して頂きます。


【最後に~予防が最も大切~】
最後に我々が救急医として皆さんに伝えたいことは、普段からの予防が最も大切だということです。金属加工など専門のお仕事、家のアルカリ洗剤による風呂掃除などでも保護メガネなどをしっかりつけることが大切です。また小さいお子様がいる場合には、子供の手の届く範囲に液体などを置かない工夫が大事になります。
ただいくら気をつけていても不測の事態は起こりえます。その場合は最寄りの救急外来を受診してください。24時間365日、当院救急外来ではこちらで紹介した検査処置含めて緊急対応をしっかりさせていただきます。

参考文献:
UpToDate: Corneal abrasions and corneal foreign bodies: Management
UpToDate: Corneal abrasions and corneal foreign bodies: Clinical manifestations and diagnosis