こんにちは!東京ベイ・浦安市川医療センター救急外来部門です。
今回は「飼っているペットに手を噛まれてしまったらどうしたらいいの?」という疑問にお答えします。
いくら慣れ親しんでいるペットであったとしても、ふとした拍子に噛まれたり引っ掻かれたりして怪我をする事もありますよね。そんな時、どうしよう?病院に行った方がいいのかな?我慢していても大丈夫なのかな?と心配になりますよね。
結論から言うと、動物に噛まれた傷では感染してしまう可能性が高いので病院へ行って下さい。当センターの救急外来は24時間365日対応しておりますので、いつでもいらして下さい。
~家での初期対応~
まずはよく水で洗って下さい。石鹸を使ったりしても良いですが、基本水道水で大丈夫です。出血がひどい場合には、ガーゼやティッシュなどで抑えて止血をしながら病院へ向かって下さい。痛み止めが家にある場合は、痛みがひどければ飲んでいただいて構いません。
~病院では何をするの?~
まず傷を観察します。
深さはどれくらいか、歯などの異物がないか、関節に近い場所じゃないか、骨折はないか。
骨折や異物が疑われる場合はレントゲンで評価させてもらいますが、必須ではありません。
顔の傷や、大きな傷であれば縫合を行いますが、動物に噛まれた傷は創部を縫合して閉鎖してしまうと感染しやすいと言われているため、小さい傷であれば縫合を行わないことが多いです。
縫合を行う場合、十分な傷の治りを期待できる縫合までのタイムリミットは、「顔は24時間以内」、「そのほかは12時間以内」です。診察した上でご本人と相談して治療方針を決定しますので、お早めに受診ください。顔の複雑な傷、骨や関節まで達する傷、神経や血管が損傷されている傷は外科的手術になる事もあります。
一般的に、犬よりも猫に噛まれた傷の方が感染しやすいと言われています(猫の口腔内に存在する菌、歯の形状など)。
犬や猫の口の中にはたくさんの菌がいるため、感染症の予防が必要です。
抗菌薬が処方されることが多いです。出されたお薬は全て飲み切って下さい。
破傷風トキソイドのワクチンを打っていなければ、打つことがお勧めされます。過去に打ったことがある方であれば、一度の追加接種ですみます。打ったことがなければ3回打つ必要があります。
噛まれた動物が狂犬病のワクチンを打っておらず、狂犬病にかかっているような様子があれば狂犬病も予防が推奨されます。日本では頻度が高くないですが、感染すると命に関わる怖い病気なので注意が必要です。
~病院から帰った後はどうするの?~
1〜2日後に感染のチェックのために再診いただきます。
発熱、傷の周囲の熱感、赤み、腫れ、膿が出て来るなどの感染を疑う症状があれば、入院して点滴での治療が必要になる可能性もありますので、すぐにでも病院を受診して下さい。
その後は毎日傷を洗って頂き、縫合をしていれば抜糸に来て頂き終了となります。
たとえ噛まれてしまったとしても、その後も変わらずペットを愛してあげて下さいね。
ちなみに、噛んだ生き物の種類は問いません。ヘビやイグアナや、たとえ人間でも適切な治療をさせていただきます。気軽に当センターを受診して下さい。
東京ベイの救急外来では、来院された方が受診してよかったなと思える治療を提供できるように、スタッフ一同、引き続き努力してまいります。
当センターを受診してくださる地域の皆様、これからもよろしくお願い致します。
<参考文献>
UP TO DATE [Animal bites(dogs,cats,and other animals)]
ERでの創処置 縫合・治療のスタンダード
