意外とよくある低体温症〜屋外でも屋内でも要注意な「寒さの怖さ」を救急医がお話します〜

こんにちは!東京ベイ救急外来部門です。
過ぎ去った猛暑が恋しくなるほど寒くなってきました。年末年始にかけてお酒をのむ機会も増えてくると思いますが、飲みすぎて屋外で寝てしまったことなどありませんか?あるいは年始に帰省した実家が寒くて心配になったりしていませんか?
今回は、特に冬場に気を付けたい低体温症についてお話しします!!

【低体温症の定義】

深部体温の35℃未満への低下を低体温と定義しています。特に意図せず低下してしまった場合がほとんどと思われますが、それを正式には偶発性低体温症といいます。低体温症の患者さんの体温の評価は深部体温で行います。自宅で測れる体温計は体表の温度であり深部体温より約0.5℃低いと言われていますが、正しい体温の評価はできません。

救急外来では、深部体温を測るため、専用の体温計を食道や直腸、膀胱に挿入して測定します。深部体温が32℃から35℃を軽度の低体温、28℃から32℃を中等度の低体温、28℃未満を重度の低体温と分類することが一般的です。病院到着前の救急車などで深部体温がすぐに測定できない場合では、症状から重症度を分類し、おおよその深部体温を予測するSwiss staging systemも知られています。

【低体温の原因】

低体温になる原因は主に寒冷環境の暴露(低温環境や溺水)による一次性と、原疾患に伴う二次性とに分類されます。二次性では熱の産生が低下する代謝異常や中毒、体温調節中枢の傷害などがあげられます。筋肉量が少なく熱産生が少ない高齢者や低栄養の患者さん、アルコール中毒の患者さんはそれ自体が低体温のリスク因子とされているので注意が必要です。

また感染症や脳卒中、心筋梗塞、大動脈解離などが原因で身動きが取れなくなった結果、低体温症を併発するケースもあります。低体温症となった原因に目を配ることが大事です。
意外なことに、日本の調査では偶発的低体温症の発生場所は屋外より屋内が多いです。日本救急医学会が発表した本邦における低体温症の実際−Hypothermia STUDY2011-では日本国内の低体温症のデータを公表しているのでこちらも参考にしてみてください。
https://www.jaam.jp/nettyu/20130822_teitaion_houkoku.pdf

【低体温の治療】

低体温の治療は温めることです。上に述べた重症度分類からおおよその復温方法の推奨があります。
軽度であれば電気毛布や温風などで復温をする外部能動的復温を行います。

中等度であれば加温した輸液を点滴投与することや胸腔に孔をあけて温水を還流させる内部動的復温、重度であれば血液透析やECMOなどを用いて体外循環により復温をする場合があります。当院では重度の低体温症の患者さんに対して体外循環による治療を行うことも可能です。

【まとめ】

偶発的低体温症の場合は、復温のための治療と並行して低体温になってしまった原因を考え適切な医療を提供していきます!ご高齢の家族が一人暮らしをしている場合、家の環境が寒くなっていないか、一度確認に行ってはいかがでしょうか?

【参考文献】

Up to date:Accidental hypothermia in adults(2019/12/20閲覧)
N Engl J Med 2012; 367:1930-1938
日本救急医学会:本邦における低体温症の実際
Resuscitation. 2015 Oct;95:148-201
High Alt Med Biol. 2003 Spring;4(1):99-103

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