やけど〜やけどした時に気をつけるべきポイントとは〜

こんにちは! 東京ベイ・浦安市川医療センターの救急外来部門です。
東京ベイ救急外来(ER)は24時間365日受診が可能です。時間帯によっては混雑していますが、来院された方にベストの医療を提供し、受診してよかったなと思って頂けるように努力します。
今年度はよくある病気や怪我に対しての簡単な対処方法などについて解説していこうと思います。

今回はやけどです〜やけどした時に気をつけるべきポイントとは〜

赤ちゃん・子供に限らずやけどはとても一般的な怪我です。
ではやけどしてしまったらどのようなときに受診すれば良いのでしょう。
具体例をあげましょう。

  • 味噌汁やスープがかかってしまった。
  • 遊んでいるときにポットの電線に引っかかりポットが倒れてお湯がかかった。
  • ストーブを触ってしまった。
  • 外食中にあつあつの鉄板を触ってしまった。

など、さまざまな状況でやけどを受傷することがあります。
子供がやけどで泣いていて冷静になることができる親はとても少ないと思いますし、大人であっても痛みが強い時は気が動転してしまうかもしれません。そこでいくつかのポイントに分けて述べようと思います。

① 初期治療

やけどをしてしまった場合にまず最初にしていただきたいことは

冷却(冷やすこと)です。

具体的には流水で5分冷やし、医療機関受診するまでの間は濡れタオルで冷やすがいいでしょう。
やけどの重症度は原因物質の熱さと接触時間により決まります。
そのため冷やす時のポイントは

① いかに早く冷やすことができるか
② 熱い物質からはすぐさま離して冷やすこと

が悪くならないためのポイントです。
早く冷やすことに関しては、流水(12℃が理想的)で構いませんので5分程度は冷やすことが大事です。そうすることによりやけどの痛みを軽くすることができ、組織の損傷を抑えることができると言われています。
ただし、冷やしすぎによりお風呂上がりのような”シワシワ”にならないようにも注意が必要です。また子供は体の面積が小さいので冷やしすぎると体温が低くなりすぎることがあることにも注意が必要です。

次に熱い物質からはすぐさま離すことに関して述べます。
すぐに熱いものから離れること、と聞くと着ている服の上から液体がかかってやけどしてしまった場合、服を脱がそうかとするかと思いますがまずは水で冷やしてあげましょう。
なぜならあつあつで服を脱ぐのは思ったより難しいこと、そして脱がそうとしている間に冷やすのが遅れてしまい、やけどが深くなってしまうこととがあります。

次に

② どのようなときに医療機関の受診が必要か

について考えたいと思います。
受診すべきかどうか迷うったときにどのような場合に受診したら良いのでしょう?
以下のような場合は速やかに受診したほうが良いでしょう。

  • 子供の手のひら10個分より広いやけど
  • やけどした場所に痛みを感じない。
  • 皮膚が黒こげになっている。
  • 皮膚が白くなっている。
  • 陰部や関節をやけどした。
  • 顔面や目のやけどをした。
  • 火事であつい空気を吸った。
  • ヘアピンやクリップなどの金属を家庭用のコンセントに入れてしまった。
  • 学校の実験で化学物質がかかってしまった。

このような場合は特殊な治療が必要になる可能性があります。
子供は特に大人よりも体が小さい分悪くなりやすいこともあり入院が必要なケースもありますので①で説明した処置を行いながら病院に向かって来ましょう。

③ どういうときに後遺症や傷跡が残るか

それは原因物質の熱さと接触時間により深さが決まったらある程度予想がつきます。

やけどは大まかに分けると3つに別れます。

  • 浅いやけど(Ⅰ度熱傷)
    皮膚の色が赤くなっているだけの場合です。海に行くと日焼けして赤くなるのと同じであまり特別な治療は必要ないと言われています。皮膚の表面のダメージがあり痛いので、病院ではワセリン軟膏を塗ることが多いです。概ね1週間から10日程度で治ることが多いです。
  • 中くらいのやけど(Ⅱ度熱傷)
    水ぶくれができている場合です。①水ぶくれの底の部分(真皮)が赤くなって痛い場合(浅いⅡ度熱傷)と②水ぶくれの底の部分(真皮)が白くなって痛くない場合(深いⅡ度熱傷)があります。
    ①は2週間程度であまり跡が残ることなく直りますが、②は3-4週間かかり場合によってはケロイドや肥厚性瘢痕(皮膚が分厚く硬くなること)ができることがあります。どちらも傷から滲み出てくる液体が多いので傷にくっつかないガーゼを使用したりします。
  • 深いやけど(Ⅲ度熱傷)
    皮膚が黒くなったり逆に白くなったりする場合です。治癒には3ヶ月くらいかかることもあり瘢痕が残ることが多いです。植皮が必要なケースもあります。
    多いのは浅いやけど〜中くらいのやけどで中くらいのやけどは治療の経過によっては跡に残ることもあるので心配であれば医療機関に通院しながらケアをした方がいいでしょう。

自宅で経過を見る時のポイントは

やけどは次の日になると深くなることがあることです。

そのため病院で処置を受け、その後家でやけどの処置を継続するときはしっかりやけどの部分を見てあげることが大切だと言えます。
最初は浅いやけどだったのに翌日には水ぶくれができて中くらいのやけどになることはよくあることです。

④ やけどの治療はどうするの

最後に治療について具体的に述べます。

現在はうるおいを保つ湿潤療法

というものが主流になっています。
以前は傷を消毒したり乾かしたりすることが一般的でしたが、うるおいを保つことで治りを促進する方法が近年は有効とされています。医療機関ではハイドロコロイド剤(余分な水分を吸い取ってくれる)やくっつきにくいガーゼ(非固着性ガーゼ)を使用しています。ワセリンと食品用のラップがあれば、うるおいを保つことができますので、治せるのではないかと考えられますがなれていない場合は医療機関に受診し医師と相談されたほうが良いでしょう。
瘢痕化を防ぐためには一定期間紫外線から保護したほうがよいと言われており絆創膏を貼ることも推奨されています。
また、感染すると治癒期間が長くなったり、跡が残りやすくなったりするため、感染しないように管理することはとても大事です。悪臭があったり痛みが強くなって来たりする場合には医療機関を受診するべきでしょう。

以上の様にやけどになった場合は

①水で冷やす
②やけどは次の日に深くなることがあるので注意して観察する
③ 感染に注意しながらうるおいを保つ治療をする

となります。

東京ベイの救急外来部門は住民のみなさまの健康を守ります。
今後ともよろしくお願いします。

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参考文献
熱傷診療ガイドライン 日本熱傷学会
Burns Incl Therm Inj. 1982 Nov;9(2):101-10.
Up to date: Treatment of minor thermal burn (2018/8/27閲覧)

文責: 救急集中治療科:救急外来部門 石上 雄一郎

◆ 東京ベイ・浦安市川医療センター 救急集中治療科(救急外来部門)

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