こんにちは、東京ベイ・浦安市川医療センター救急外来部門です。
本格的に寒くなっている時期、皆様はいかがお過ごしでしょうか?
今日は寒い時期によく起こる「喉の痛み」に関してお話ししたいと思います。
喉が痛いのは風邪?
「喉の痛み」は寒い冬の時期になると流行します。
皆様の周囲にも「喉の痛み」を訴えてマスクをつけたりしている人がいると思います。
喉が痛い時、よく「喉風邪」と表現されることがあります。
しかし、その「喉の痛み」は本当に「喉風邪」なのでしょうか?
実は「喉の痛み」を引き起こす疾患は様々であり、中には緊急での処置が必要になるものもあります。
最も多い「喉の痛み」の原因は感染症です。
そして喉に感染を起こす原因生物は、細菌とウイルスの大きく2種類に分けられます。
一般的に「風邪」や「喉風邪」と呼ばれるものは、ウイルスによることが多く、通常、自然経過で完治し、抗生物質は不要なことが多いです。
逆に細菌が原因の場合は抗生物質が必要で、病院受診が必要となります。
中には喉の奥で膿が溜まる(膿瘍(のうよう)と言います)こともあり、その場合は喉に処置をし、膿を出すこともあります。
病院に行くべき?〜危ない症状〜
さて、ではどのような症状の時に病院に行くべきでしょうか?
ウイルスによる感染の場合、「喉の痛み」以外にも次のような症状を伴うことが多いです。
・鼻水、鼻詰まり
・痒みや目の充血
・咳、声が嗄れる
このような症状で、「喉の痛み」がひどくない(痛み止めを飲まなくても我慢でき、水も飲める)、発熱が38℃を超えないような場合はウイルスによる感染の可能性が高く、自然と治る可能性が高いと考えられます。
一方で次のような症状の場合は病院受診を考えてください。
・38.4℃以上の発熱
・発症2日間の重度の喉の痛み、または発症5−7日経過しても改善がない場合
このような症状がある場合、細菌感染として抗菌薬が必要となる場合があり医師の判断が必要になります。
中でも、喉への細菌感染において溶連菌(ようれんきん)は、重要かつ抗生剤が奏功しやすい細菌として大切です。
溶連菌の場合、以下の症状で感染の可能性を予測することが可能です。
以下の症状で4つ以上該当する場合は溶連菌感染の可能性が非常に高くなります。
・38℃以上の発熱
・頚部の腫れ、痛み(頚部LNの腫脹・圧痛)
・咳がない
・扁桃の腫脹・浸出液
・15歳未満
また次のような症状がある場合は直ちに(時としては救急車も考える)、病院受診が必要となります。
・呼吸が苦しい、呼吸するのが難しい(普通に呼吸が出来ない)
・唾液や飲み物を飲み込むことができず、口から涎が垂れる
・首や舌が腫れている
・首を左右前後に動かすことが出来ない、または難しい
・口を開けることが難しい、開けにくい
このような症状がある場合、細菌感染の重症化や膿瘍可能性が高く緊急での処置が必要とある場合があります。
喉には呼吸の際に空気の通り道(気道)が存在しています。
重症な感染症で腫れた組織や、膿瘍により気道が押し潰され、窒息する可能性があります。
その為、時間や場所を問わずにお近くの救急病院を受診して下さい。
いかがでしたか?
単に「喉が痛い」と言ってもその原因や緊急性は様々です。
当センターでは24時間体制で救急外来の診療が可能な体制を整えております。
「喉の痛み」でお困りの際はいつでも当センターを受診下さい。