こんにちは、東京ベイ・浦安市川医療センター 救急集中治療科 救急外来部門です。
徐々に寒くなってきましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?
寒くなると、いろいろな病気が増えてきます。
感染症、心筋梗塞・脳梗塞などの血管の病気などがその代表例です。
その多くなる疾患の一つに胃腸炎があります。
しかし、嘔吐や下痢は、胃腸炎以外の様々な病気でも起こり得る症状です。
よって、今回は胃腸炎のような症状を伴うような病気について考えてみたいと思います。
まず、典型的な胃腸炎は、お腹の臍周囲に並みのある痛みが出現し、嘔吐から始まりその後に水様下痢が伴います。
下痢も透明の水様便が複数回出現します。
ノロウイルスやらロタウイルスといった有名なものがありますが、基本的にはウイルス性胃腸炎としてまとめる事ができますが、根本的な治療は存在しないため、嘔吐に対す吐き気止め、下痢に伴う脱水に対する補液などの対症療法がメインとなります。
必ずしも、点滴が必要ではなく飲水での摂取が可能であれば痛い思いをして点滴をする必要はありません。
しかし、胃腸炎のような症状といってもいろいろな原因で起こる事があります。
痛みの部位が、右下に限局している場合は虫垂炎(いわゆる盲腸)を疑いますし、嘔気があって下痢がない場合は、胸痛を伴えば心筋梗塞を疑いますし、頭痛を伴えば、くも膜下出血などの頭の病気を疑います。
よって我々は流行中でほとんどが胃腸炎の中から、胃腸炎以外を探すことを心がけています。
また、胃腸炎でもウイルス性ではなく細菌性であることもあります。
ウイルスと細菌の違いは様々ありますが、細菌は自分で増殖する一方ウイルスは自分自身で増殖しないという特徴があります。
細菌に関しては、抗生物質が効果を示すのに対し、ウイルスには根本的な治療法はなく対症療法になります。(注:インフルエンザなどでごく一部のウイルスでは、抗ウイルス薬は開発されています)
よって、細菌性腸炎を疑う事が重要になってきます。
では、どのような時に細菌性の腸炎を疑う必要があるのでしょうか?
具体的には、血便が出た時、下痢が1週間以上継続している時、特定の食事(生の鶏肉など)をした時、海外旅行から帰国直後などです。
よって、胃腸炎のような症状でも、上記のようなエピソードがある場合は、医療機関でご相談いただけたらと思います。
最後に、胃腸炎について最も重要なことについて述べます。
それは予防です。
具体的には、基本になりますがやはり手洗いうがいです。
まずは、感染しないように、これらを心がける事が重要です。
また、ご家族など周囲の方が感染してしまった場合は、なるべく接触を避け接触してしまった場合には毎回手洗いうがいをする事が大切です。
今回は、胃腸炎について述べさせていただきました。
皆様のお役に少しでも立てればと思います。