お腹がおかしい?〜困った腹痛「お腹の痛みの原因が何ですか?」〜

今日は、東京ベイ・浦安市川医療センター 救急集中治療科 救急外来部門です。
暑い日が続く中、皆様はいかがお過ごしですか?
さて今回のテーマは腹痛になります。
皆様も一度はお腹が痛くなったことがあると思います。
お腹のいたみは救急外来でも特に多くの患者さんの症状になります。
また我々救急医にとっても腹痛が症状として出現する疾患は多く、時として救急外来では診断が困難な場合もあります。
皆様は「お腹が痛い」と言われてどのような病気を思いつきますか?
お腹と言えば、消化管…胃腸炎などでしょうか?

◯実は腹痛の原因は様々

お腹には消化管(小腸/大腸)以外にも肝臓、腎臓、脾臓などの臓器や大動脈・尿管、女性では子宮・卵巣など多くの臓器が存在します。
この多くの臓器の中から原因を探し出すのは、大変なことのように思えます。
でも実は「お腹が痛い」原因を探す重要な鍵は、患者さんのお話(病歴)と正確な身体診察です。
例えば、「食後2時間から徐々に始まった、30分間隔の波があるお腹の痛み」と言われた場合は、消化管が原因の痛みである場合が多いです。
こういったお腹の痛みに加えて、「下痢が出るとスッキリする」、「吐いた後楽になる」といった症状もある場合は消化管の可能性が非常に高いと判断し、身体診察で危ない兆候が隠れていないか確認した後は、吐き気止めや整腸剤で様子を見て頂くことが多いです。
逆に「突然始まった同じ強さで続く痛み」ではどうでしょうか?
この場合は警戒が必要な場合があります。
特に「突然」、「同じ強さの痛み」では血管やその他の臓器が原因の場合があり、時として命に関わる疾患が隠れていることがあります。
この場合、必要に応じてCT検査などの精密検査を追加し、危険な疾患がないかを確認しなければなりません。

◯痛みの原因、全部は分からない?

「お腹の痛みの原因が何ですか?」-これは救急外来を受診した皆さんが口にする質問です。
お腹の痛みの原因には様々な臓器が関係し、様々な疾患があります。
しかし実際は、救急外来を受診した患者さんの4人に1人は原因が分からないという報告があります。
しかし、原因が不明であっても約8割は2週間以内に自然と症状が改善するという報告もあります。
「はっきりとは原因が分からない」と言われても不安になる必要はありません。
大切なのは時間を味方につけることで、経過を見て症状が良くなるか、新しい症状が出てこないかを見て行くことになります。
当センターでは腹痛の患者さんに、帰宅時にパンフレットをお渡しし、具体的にどんな症状の場合に受診が必要かをご説明させて頂いています。
また症状の変化があった場合はいつでも受診可能な体制を整えています。
お困りの際はいつでもご相談お待ちしています。

 

◆ 東京ベイ・浦安市川医療センター 救急集中治療科(救急外来部門)

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