子供の頭部打撲と気をつけるべき症状 〜かわいい子どもが頭をぶつけてしまったら?〜

皆さま、こんにちは。
東京ベイ救急集中治療科救急外来部門です。
3回目の今回からは、救急外来でよくみかける症状について、解説してみたいと思います。

そもそも子供は転ぶと頭をぶつけやすい!?

まずは、子どもの頭部打撲、つまり頭をどこかにぶつけてしまったときについてお話しします。
これから、夏を迎えるにあたり行楽シーズンに入ります。
夏休みなどお子様と出かける機会も多いことと思います。
子どもは、遊ぶことが仕事でもあり精一杯遊ぶため、転んだり、落下したり、またぶつけたりして頭に外傷を負うことが多いです。
そもそも、大人よりも子どもは体に対しての頭部の比率が大きく、転倒などした際にも、頭をぶつけてしまうことが多いです。
その比率は、新生児では大体4頭身と言われており、その比率の大きさがわかると思います。

頭をぶつけた子供全員に頭部CT検査をすべきか?

お子さんが頭をぶつけた後、ご両親はもちろん打撲による傷も心配ですが、さらに頭の中に何か起こってしまったのではないかと心配されます。

『見た目では、元気なように見えるが、頭をぶつけた時の音はすごい音がしたし大丈夫なのだろうか?』
『大きなたんこぶができているけど、頭の中が心配だ。』

医学的に頭の中の出血を確認するには、CTという検査をする必要があります。
ドーナツ型の輪の中に入る検査で、特に痛いなどの苦痛を伴う検査ではないのですが、放射線を浴びる必要があります。
特に、小さな子どもでは放射線の被曝の影響は大人よりも大きく、撮影する際はしっかりとリスクを考え選択してあげる必要があります。
とある研究では、2-3回の頭部CTにより脳腫瘍のリスクが約3倍になり、5-10回の頭部CTにより白血病のリスクが3倍になるといった報告もあり、余計な被曝は有害であることが知られています(Lancet 2012; 380: 499–505)。

もちろん被曝のリスクよりCT検査で得られるメリットが大きければ、救急現場で医師は迷わず頭部CT検査を実施します。
しかし、さすがに頭をぶつけた子供全員に頭部CTを行う必要はありません。
救急外来の診察室では、お子さんの症状からも頭部打撲の危険度(リスク)を推測し、頭部CTをはじめとする精密検査の必要性や治療方針を検討します。

子供が頭をぶつけた場合に気をつけるべき症状とは?

もし、皆さんのお子さんが頭をぶつけた場合、ご家族はどのような時に細心の注意をする必要があるのでしょうか?
どのような時に頭の中の出血、頭の骨の骨折を心配する必要があるのでしょうか?
我々医療従事者は、統計学的に有意な所見(or知見?)をエビデンスと呼びこれに基づいて判断をしています。
お子さんの頭部打撲に関しても、何か治療が必要になりそうな頭部外傷があるかのリスクを層別化するスコアがあり、PECARN(pediatric emergency care applied research network)と言います。
2歳以上、2歳未満に分けて、色々な症状が全てない場合は、上のような治療の介入が必要になりそうな頭部外傷の確率は低いと判断されます。
全てを、羅列すると専門的にすぎるため割愛しますが、一般の方でもわかりやすい症状について、挙げさせていただきます。

・意識状態の変化(不穏、傾眠傾向、同じ質問を繰り返す、言葉に対する反応が遅い)
・後ろ、横、上にあるたんこぶ
・5秒以上の意識消失
・嘔吐
・重度の頭痛
・両親から見て、様子がおかしい
・落下(2歳未満90cm以上、2歳以上150cm以上)

などが挙げられます。
これらの他にもリスクを判断する項目はあり、我々医師は医学的アルゴリズムに沿ってお子さん一人一人の頭部外傷リスクを判断しますが、ご家族にとって実用的でわかりやすいものは上記症状のような項目になるでしょう。
万が一、皆さんのご家庭でお子さんが頭をぶつけてしまった際には上の症状を参考に「気をつけて子供の様子を見守るか、早めに病院に連れて行くべきか」を判断する一助にしていただければと思います。
もちろん、一般の方での判断は困難であり、またお子さん1人1人でバックグラウンドが違うので、もしご不安があるようであれば、当院へご相談いただければと思います。
ご拝読いただきありがとうございました。

◆ 東京ベイ・浦安市川医療センター 救急集中治療科(救急外来部門)

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