皆様、こんにちは。
救急集中治療科 救急外来部門です。
今回は「地域の輪」と題して、地域医療における当センターの役割について、お話したいと思います。
皆様は「地域医療」という言葉にどのような印象をお持ちでしょうか?
地方や山間部で往診をしてくれる開業医の先生や、離島での診療所の先生を思い浮かべたりはしないでしょうか?
それも一つの「地域医療」であると思います。
しかし、「地域医療」とは決して地方や離島だけの話ではありません。
私達が暮らしているこの街もまた地域であり、「地域医療」を必要とするのです。
それでは「地域医療」に必要なものは何でしょうか?
それは24時間356日体制で地域を守れる医療体制です。
そして地域を守れる医療体制には多くの方の協力が必要となります。
日々患者さんの診療をして頂いている開業医の先生、地域の救急体制を担う救急隊の方、より高度な検査・入院設備を持った市中病院・大学病院、急性期後の加療を行う慢性期病院や介護施設など、様々な関係者の皆様で「地域医療」は成り立って行きます。
普段の生活の中で皆様が風邪を引いたり、ご家族・お子様が熱を出たりしたりすれば、まず受診するのはかかりつけの先生だと思います。
しかし、かかりつけの先生のみですべての疾患を診療する事は難しく、時として専門的な検査、治療が必要と判断され、より大きな病院への受診が必要になることがあります。
皆様の中にも「胸が痛くてかかりつけの先生に受診したら、大きな病院へ紹介となった」、「おばあちゃんが熱を出して、先生に診て頂いたら入院が必要と言われ紹介となった」などの経験したことがある方はいませんか?
当センターでは、ER型救急として24時間356日体制で、開業医の先生より乳児から高齢者まで幅広い患者さんの御紹介を頂いております。
地域の開業医の先生と密に連携していくことが、当センターの「地域医療」の役割であると考えております。
ここで一つ具体例をご紹介しましょう。
ある日、当センター救急外来に1本の電話がかかってきました。
−「発熱で来院した高齢の患者が肺の音を聞くと肺炎が疑われる。精査をお願いできないか?」−
その患者さんは、ご自分では風邪であると思い、開業医の先生を受診された方でした。
頂いた紹介状には、これまでの病歴やお薬の情報を丁寧に記載されており、当センター受診後のことを配慮した内容に頭が下がる思いでした。
検査の結果、右の肺に肺炎があり、入院での治療を行い無事に退院されました。
高齢者の肺炎は、時として重症化してしまう場合があります。
一方で早期に適切な治療を行えば、重症化することなく治療することができる場合もあります。
今回の場合も開業医の先生より、迅速に御紹介頂けたことで患者さんは重症化することなく治療できたものと思われます。
この様に、開業医の先生と密接に連携することは、患者さんの早期治療と病気の重症化の予防となり、「地域医療」として重要な役割を果たしています。
当センターでは、24時間365日体制で、可能な限り御紹介を承っております。
開業医の先生が患者さんでお悩みの時、いつでもどこからでも、ご相談お待ちしております。